デジタル世代の若者を活かす8つの方法

デジタル世代の若者を活かす8つの方法

ケン・パールマン (コッターインターナショナルコンサルタント)

この記事は原著作者の許可を得て日本語に翻訳したものです。(翻訳:島田亮司)

最近ではジェネレーション Z (GEN Z) 世代が入社することも珍しくなくなってきました。ということは、その前の世代のジェネレーション Y はすでに会社でかなりの割合を占めるようになってきました。現在30前後の若者です。彼らはどのようにしてやる気にさせ定着率を高めることができるでしょうか?


最近の若者はとても優秀です。我々の世代(40代後半以降)の若かった時と比べてずいぶん賢い気がします。さらに、彼らが会社に与える影響は我々の時と比べてはるかに大きいと思います。

この事実は、親としては喜ばしいことですが、彼らの上司としては手放しで喜ぶわけにはいきません。仕事の進め方の違いが不協和音を生じさせることもあるでしょう。彼らが会社を去って同業の会社を起業して対抗する、あるいはライバル会社へ転職することも考えられます。

次世代のリーダーを採用するプロセスは、過去の経験を参考にしながら洗練されてきました。しかし、彼らの能力を活かしずっと働いてもらうためのプロセスは必ずしも洗練されてきたとは言えません。映画『スター・ウォーズ』に登場するルーク・スカイウォーカーと先輩であり父親のダース・ベイダーの結末を見れば分かりやすいでしょう。最期はダース・ベイダーが息子のルークに倒されてしまいます。

リーダーとしての能力を開発し、知識を持たせ、経験を積ませて彼らを将来の幹部に育てることは、同時に会社にとっての脅威を抱えることにもなるのです。

では、世間で言われるところのジェネレーションY、つまり1980年代前半から1990年代前半に生まれ、現在社会で活躍している若者のネガティブな特徴とはどのようなものでしょうか。ステレオタイプ的な指摘もありますが、大体次のようなことが言われています。

  • 帰属精神が低い
  • 忍耐力がない
  • ガッツがない
  • 敬うことをしない
  • 集中力が続かない

なぜ帰属意識が低いのでしょうか。彼らは自分の両親あるいは同じ世代の人たちが何十年も働いた会社から簡単にリストラされたことを知っています。彼らに両親の世代と同じ帰属意識を持たせることは難しいのです。

しかし、本稿ではそれらの原因を突き止めたり、背景を考えたりすることはしません。代わりにこれらのネガティブな特徴をポジティブなものに変えるにはどうすれば良いか考えてみます。既に全社員の3割を占めるまでになったジェネレーションYの世代を活かすためには、彼らをどのように組織に取り込んでいけば良いのでしょうか。8つのポイントを紹介したいと思います。

自由なワークスタイル
自由なワークスタイル

組織の枠に閉じ込めすぎない

彼らは賢く、優秀で、経験も比較的豊富で、実は熱意もあります。そんな若者を組織の枠に閉じ込めることはせず、組織横断的に活躍できるチャレンジを与えるのです。彼らは必要であれば旧友やお世話になった大学の先生などいろいろな外部のコネクションを使ってチャレンジに取り組むでしょう。また、早くから情報機器を使いこなしている若者は世代を超えて様々なネットワークを持っている場合があります。社内でも新しいネットワークを自由に作らせる環境を与えれば、いろんな新しいチャレンジに取り組むことができ、しかも素早く実行に移せます。

マントを着させる

彼らがヒーローになる機会を与えてください。みな自分の仕事に意味があって、自分の行動によって物事が進むことを望んでいるのです。また彼らは自分の行動がすぐに結果として現れることを期待しています。この行動が次にどうつながるか話してください。さらにその後のプロセスにも関わらせてください。自分の仕事の前と後のプロセスを理解させることは、組織横断的に与えられた仕事以上のことができる人材を育てることにつながります。

フィードバックをする

定期的なフィードバック
定期的なフィードバック

ジェネレーションYの世代は少子化の影響もあって、自分達の世代よりも上の世代の人口が多く、両親だけでなく、先生を始め多くの年輩たちから様々なフィードバックを受けて育ってきました。また、コンピューターテクノロジーが周りに溢れる中で、瞬間的なフィードバックを当たり前のように期待しています。但し、一般的に言われていることとは逆に、彼らの世代は肯定的なフィードバックだけを期待しているわけではありません。良い評価と悪い評価が織り交ざった建設的なフィードバックを求めているのです。コンピューターゲームでも常にいい結果が得られるわけではありません。時には悪い結末もあり、それでも彼らは結果を素直に受け入れてきました。

バランスの取れたフィードバックを頻繁に行ってください。そうすれば、彼らは社内での自分の役割や立ち位置を適格に把握することができるでしょう。

話をよく聞く

彼らには聞きたいことがたくさんあります。特に入社したばかりの頃は多くの疑問を抱えています。そうした疑問や質問の中には改善につながる多くのヒントが隠されています。既存のやり方や商習慣に対して、新しい考え方や最新のケーススタディーの見地を反映し、組織を効率化するきっかけを与えてくれるかもしれません。あなたが彼らの話を熱心に聴いて質問に応えることで、事業を活性化するいくつもの改善案をリストアップすることができるでしょう。

若い人にこそ意見を求める
若い人にこそ意見を求める

質問を投げかけ

ジェネレーションYの世代は周りに年輩の人が多いため、アドバイスを求めて質問をすることに慣れています。逆に「君はどう思う?」と質問をされることはあまりありません。彼らから質問をされたら、すぐに答えを言うのではなく「君ならどう思う?」と聞き返してみてください。思いがけない素晴らしい答えが返ってくるかもしれません。

⑥社員稼業を実践させる

仕事のチャレンジに自主的に取り組ませることが大切です。所属している部署が、あるいは上司が何を達成しようとしているのか彼らに語ってください。またどうしてその達成が必要で重要なのか納得させてください。そして彼らにどうしたら達成できるか考えさせてください。彼らのアイデアに賛同できるなら、自主的に仕事をさせてください。そうすれば、自分が商店の主人のように責任感を持って仕事に取り組み、迫りくる障壁を果敢に乗り越えて目標に向かうことができる社員に育っていくことでしょう。

冒険できる環境を整える

冒険させる
冒険させる

あなたは赤ちゃんが立って歩けるようになるために何をしますか?無理やり持ち上げて立たせるようなことはしないはずです。まずは自ら立ち上がって歩くために最適な環境を整えることを考えるでしょう。コンクリートよりはカーペットの上で、近くに倒れやすいものがある場所よりは何もない広い空間で、というように自らの力で歩けるように色々と工夫すると思います。

仕事を教える場合も同じように考えてください。あなたが彼らにしてもらいたいことを実現するために必要な環境を提供するのです。イノベーターに育て自由な発想を持ち続けてもらうためには自ら進んで仕事ができる状況を上司としてお膳立てすることが必要です。

⑧コミュニティー活動を会社の帰属意識につなげる

この世代の若者は社会に対してなんらかの良い活動をしたいと思っています。エコ意識が高まり、高齢者が増える中でボランティア活動が当たり前のように社会で行われていることを知っています。また地域社会の重要性も認識しています。

今の時代において、地域社会のために彼らにボランティア活動をさせることは長い目で見ると彼らを会社につなぎとめる手段になります。彼らは社会の役に立ちたい、より良い社会にしたいと思っています。そんな活動を支援する会社を彼らは誇りに思うでしょう。会社への帰属意識が高まることにもつながります。

会社に誇りを持つと自分の仕事以外の会社全体の活動にもより積極的になります。会社全体に関わる採用活動や他部署のカスタマーサービスといったことにも興味を持ち協力的になるでしょう。

上記8つの方法を是非実践してみてください。但し、その大前提として彼らを「信用」することが大切です。彼らは自分達が信用されて同じ目線で扱われているか、あるいは歯車の一つとして見られているか気が付いています。疑問があれば全て解消させましょう。信頼して正直に情報を共有し、自ら正しい判断ができるようにしてあげます。そうすれば彼らも同じように自らをさらけ出し、良い情報も悪い情報も進んで共有し、上司と強い結びつきを持つようになるでしょう。

ルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダーの関係にならないように頑張りましょう。

参考リンク: Kotter International

Strategy Execution and Change Management Consultants - Kotter

Kotter is a strategy execution, change management, training and transformation consulting firm founded by renowned leadership expert Dr. John Kotter.

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