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なぜ素晴らしいアイデアは失敗してしまうのか?大事なのは実行部隊とタイミング

グレゴリー・レステージ(コッター・インターナショナル副社長)

この記事は原著作者の許可を得て日本語に抄訳したものです。(翻訳:島田亮司)

誰もが次の大きな光り輝くアイデアを追いかけています。しかし調査結果はいつも皮肉です。リーダーは戦略を考えだすのは得意でも、それを実行に移すことに失敗するという結果です。読者のみなさんはどう思いますか?

経営に携わる多く人にとって、新しいアイデアに対する魅力は強烈で、時に陶酔してしまうほどです。新しいアイデアは経営陣にとって「貴金属」であり、その貴金属は豊富に存在します。全米ではおよそ11,000ものビジネス書が毎年刊行され、その他に何万もの雑誌や新聞の記事、そして諸々の白書などが最新の「ビッグアイデア」についてフォーカスしています。もしそのアイデアが時機的にも自社にとって適切であれば、経営陣は専門知識や骨の折れる熟練の技を駆使して、そのアイデアを「必勝戦略」に練り上げます。しかし、CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)など、Cが付く役職に就いている人のオフィスを実際によく見てください。以前の、あるいは先月や昨年のすばらしく輝いていたもの(アイデア)が、今では冴えない光を放って散らかっていないでしょうか。

実際に見にいく前に、質問があります。あなたは「優れたアイデア」というものは、もう価値がなく、役に立たないと思うでしょうか。

私たちはアイデアが輝きや価値を失う要因を三つ挙げています。

アイデアが輝きを失う3つの要因

  • 誰がアイデアを生み出したのか
  • 生成過程において、アイデアがどのように変形したか
  • 経営者の頭にあったアイデアが、それを実行する現場のスタッフに伝わり、どう変化したか
マイクタイソンの名言

多くの組織において、自由闊達に物事を考え、アイデアを創造する作業は上層部や彼らの信頼する相談者等、限られた人の専権事項になっています。方策、ツール、活動を組み合わせる作業は、ビジネススクール時代から彼らにとって馴染みあるプロセスなのです。アイデアの創造は、比較的容易な作業で、楽しく、時間もかかりません。そして典型的に選ばれた少数の人の領域です。こうして出来上がった戦略は優れた輝かしいオブジェクトとして、多大な配慮、緻密さ そして敬意が払われます。しかしその後、考えと行動を分断する「大いなる実行の壁」にぶつかるのです。経営陣がその戦略の実行段階において、十分な人材をあてがわないために、揺籃期にうまくいかなかったり、将来失敗するように運命づけられてしまうのです。

元へビュー級ボクシングのマイクタイソンの有名な言葉に、”Everyone has a plan till they get punched in the mouth.”(殴られる前まではみんなプランを持っている)というのがあります。みな実行の壁にぶち当たってしますのです。

では、どうしたら効果的にアイデアを現実のビジネスに適用できる形に昇華させることができるのでしょうか。リーダーは従業員の力を活用することに失敗しているのでしょうか。

今日において、多くの経営者は実行段階において適切な人、及び適切な数の人材を投資することに失敗しています。典型的なミスとして、合併・買収や戦略の実行に関して、外部のコンサルティング会社などにアウトソーシングしてしまうことです。似たようなこととして、多くのシニアリーダーたちは、選抜された従業員で構成される特別なグループに一任してしまいます。こうしたことは従来のアウトソーシングと同じ結末をもたらします。社内の少数の人だけが、その他大多数の従業員に代わって、重大な任務をこなすことになるのです。アウトソーシングは社内の人材の多様性を活用しないことになります。数の問題ではなく、深く浸透し、加速度的、且つ持続的な形で、組織を糾合し変革し、実行するために必要な人材を関与させないのです。

もしかしたら、このことが70パーセントもの戦略が実行段階で失敗している原因なのかもしれません。大きな機会やチャレンジに際しては、インソーシング(内製化)のほうがはるかに効果的であることがあります。CEOが自社の多くの従業員から、多様な専門性や労働力を無駄なく利用することができれば、彼らは非常にすぐれた知的なパワーや労力を提供し、そしてやる気を示してくれるでしょう。

また、あなたはリーダーがミレニアル世代(2000年前後以降に成人を迎えた人々)に対応する準備ができていると思いますか?

会社の規模に関わらず、今日のシニア経営者世代は、経験値、教育内容、期待度といった観点で、まもなく少数派になります。この迫りくる変化はよく知られたことですが、同じような切迫性を持って、それに対する現実的且つ、全体的な準備をしようという機運はありません。CEOはこの来るべき将来に備えて、今から組織の人材戦略を先導し始めなければいけません。この変化は多方面に広く影響を及ぼします。今までとは違ったミレニアル世代の仕事についてのスキル、心構えや期待は組織の隅々まで浸透していきます。現在、40歳を超えるリーダーであれば、ミレニアル世代が作った、あるいはこの世代が多くを占める組織の成功例と失敗例をよく調べることは、とても参考になると思います。

成功に大事な5つの要素で最も重要なのは?

また、下記のTEDトークでは数多くのビジネスを手がけた企業家が成功するために必要な要素として、「アイデア」「タイミング」「資金」「チーム(実行部隊)」「ビジネスモデル」の5つを挙げています。その中で最も重要なのは「タイミング」だとしています。

タイミングは明らかに重要です。簡単な話、法律で規制強化される前と後とでは成功の可否がまるで違うでしょう。しかし、次に大事なのが「チーム(実行部隊)」だとしています。3番目になって「アイデア」が登場します。つまり、アイデアよりも実行に移す仕組みが大事なのです。

最後に、企業活動のグローバルな拡大に伴って、リーダーはグローカル(グローバルとローカルを掛け合わせた造語)なチャレンジに対処するべく充分な準備ができていると思いますか?

より多くの企業が海外に事業を展開していく中で、慢性的なチャレンジがより大きくなります。本社から、あるいは個々の地域やビジネスユニットから、どのように会社をリードしていけばいいのかという課題です。つまり、グローバルとローカルのジレンマが存在するのです。CEOはこの課題解決のために、本社に権力を集中しすぎてしまうか、あるいはローカルに権限を与えすぎてしまうというミスを犯してしまいます。皮肉なことに、繋がりは広範囲に拡大するのですが、そのことが労働力の連結性を容易にはしないのです。場所や文化の違いから生じる隔たりによって、コミュニケーションやコラボレーションが阻害されてしまうことはいつも起こることです。

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