ベトナム人と仲良くなるための雑学④ 『ベトナムの信号機はカウントダウン式』
東南アジアの国々では比較的共通して言えることですが、交通マナーが日本に比べてひどい。運転は乱暴だし、割り込みはするし、クラクションを鳴らすのも日常茶飯事。自分よりも遅い車やバイクにはクラクションを鳴らして煽るような運転は日本では大きな問題になっていますが、ベトナムでは当たり前のように見かけます。私のベトナムの友人がいうには、かわいい女の子を見かけたら、振り向いてもらうためにクラクションを鳴らすなんてこともよくあるそうです。
また、交通に限らず、ベトナムではスーパーのレジでの横入りは当たり前で、座席が指定されている飛行機の搭乗でさえ我さきへと雪崩を打ったように乗り込んで行きます。
こうした国民性は、やはりバイクや車の運転に如実に表れています。日本の交通ルールの基本である、歩行者優先や交通弱者優先などという考え方は皆無。邪魔な物があれば押しのけてでも自分は前に進むという運転が普通です。一昔前までバイクが道を埋め尽くし、横断歩道でバイクが途切れるのを辛抱強く待っている日本人をよく見かけました。日本では横断歩道を渡ろうとしている人がいれば、車やバイクは一時停車するのが規則。ベトナムではそんなことを考えていては、道を渡るのに日が暮れてしまいます。
バックミラーや目視で後方や側方を確認しないまま進路変更したり、ウインカーを出さない右折、左折、対向車の眩しさを考えない夜間のハイビーム走行、整備不良でライトをつけないままの走行など、ベトナムの交通はカオスそのものです。
日本に来たベトナム人が自転車の乗り方が乱暴で、交通ルールを守らないのも母国のこうした状況が影響しているのでしょう。小さな道路や歩行者の信号無視もベトナムでは当たり前のように行われます。
人も車もバイクの数も多いホーチミンでは大通りでの信号は以前から割とよく守られていましたが、首都ハノイでは10年ほど前まで信号無視は当たり前で当局も電力不足になると真っ先に信号への電力供給を停止するほどでした。
しかし、最近では車やバイクの数も劇的に増えそれに伴い交通死亡事故の数も急増したため政府も交通安全対策に乗り出しています。
対策の大きな一例として昔から提案されていたものの市民の反発でなかなか実現できなかったバイク乗車時のヘルメット着用が義務づけられました。また信号についても信号無視をなくすために信号の横に青になるまでの秒数を表示するカウントダウン時計を 設定するようになりました。この表示の効果は絶大でかつては「みんなで渡れば怖くない」ものだった赤信号をみんなが守るようになりました。
また青信号の最中も残りの秒数表示がカウントダウンされるため、赤信号に変わる間際の無理な横断やツッコミが無くなり交差点での交通マナーの改善に寄与しているとの評判です。
さらに最近では環境問題への意識の高まりから、赤信号が60秒以上続くようであばれ、一度エンジンを切ってアイドリングを防ぐことをするそうです。環境に優しいだけでなく、燃費節約にもなるため、こうしたカウントダウン形式の信号機は比較的評判が良いようです。
こうして多少改善されたベトナム人の交通マナーですが、現在は頻発する渋滞や駐車・駐輪場所の確保などに悩まされています。また、道路が整備され車両の能力も上がったため運転スピードも上がり死亡事故は相変わらず高止まりしています。ベトナムに行くときは交通事故に十分注意してください。また、日本で暮らすベトナム人には、母国とは異なる日本の交通ルールやマナーを教育する必要があります。