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日本の労働力不足を解消する方法

日本が今までもそしてこれからも世界を確実にリードする分野とは?

(2021年度高齢社会白書より「高齢化の推移と将来推計」)

内閣府発表の2021年度版高齢社会白書によると、2020年時点における日本の総人口に占める割合の65歳以上の人口の割合は28.5%となりました。日本は世界で高齢化率ナンバーワンの座を維持していて、 2位のイタリア(24.0%)3位のドイツ(22.7%)を大きくリードしています。 この世界1位の座は今後も続き、推計では2035年には32.8%となり、およそ3人に1人が高齢者となる見込みです。WHOと国連の定義によると65歳以上の人口の割合が14%以上で高齢社会、21%以上で超高齢社会と言われますので、 日本は余裕で超高齢化社会のカテゴリーに入ります。 7%刻みのカテゴリー分けなので、28%以上であれば超超高齢化社会と呼んでもいいかもしれません。 

超高齢化の功罪

超高齢化社会はあまり誇れることではないかもしれませんが、裏を返せば高齢者にとって医療や福祉が充実して住みやすい国だと言えるかもしれません。実際、日本は先進国なので、社会保障が充実しています。しかし負の側面の方が今大きな問題になっています。 最も大きな問題は充実している社会保障の財源です。 年金を納める人が少なく受給する人の方がはるかに多くなっています。益々膨れ上がる医療費も大問題です。高齢者になればなるほど病院に行って医者にかかる頻度が高くなります。薬もたくさんを処方してもらいます。日本は皆保険制度なのでみんなで支えていかなければいけません。 つまり年金の掛け金や健康保険料が増加し現役世代の負担が重くなります。 健康保険料は高齢者も負担しますが、収入に応じて比例するため、たくさんの給料をもらっている人は社会保障を払う額が大きく、手取りが大きく減ります。所得税だけでなく、住民税、健康保険料、年金などを控除すると可処分所得が大きく減ります。現役世代の手取りが少なくなると当然消費が停滞し日本経済が停滞する原因にもなります。 

解決策(1):高齢者の就業率の向上

現在多くの会社で65歳定年が制度化されています。まだ義務ではありませんが2025年には義務化され全ての会社で65歳が定年となります。この背景には65歳から年金がもらえるという事情があります。 60歳から年金を受給することも可能ですが、 その場合30%も受給額が減ります。 早くもらう月数かける0.5%分が差し引かれるからです。 人間いつ死ぬかわからないので、できるだけ早く60歳からもらうという選択肢も残されていますが、30%も減額されるのであれば、ほとんどの人は65歳からの受給を選択することでしょう。 

このようにほとんごの人が65歳まで働くことになるのですが、 政府はこの年齢をもっと引き上げようとしています。 世界では65歳以上を高齢者と位置づけていますが、 日本ではこの高齢者という位置づけを75歳にしようと考えています。 75歳以上を高齢者とすると2020年時点では全人口に占める割合は28.5%から14.9%に大きく下がります。 2035年の時点でも19.6%なのでWHOの基準でも超高齢化社会とはなりません。 

(資料:総務省「労働力調査」)

そこで、65歳まで現役で働くのではなく、それをさらに伸ばして75歳まで働いてもらうことで社会保障の出費を大きく下げることができます。実際に高齢者の就業率は年々高まっています。2020年時点で65歳から69歳までの60代後半の人々の就業率はほぼ半分の50%にまで高まっています。 70歳から74歳までは32.5%でほぼ3人に1人が働いている計算になります。 この働く高齢者の割合をどんどん増やしていけば、 社会保障の担い手が増え、医療費も抑制されるので、高齢化の負の側面を和らげることにつながるでしょう。

「そんな年を取ってまで働きたくない!」という人もいるでしょう。 ただ身体が動くうちは社会との繋がりを持っておくことは精神衛生的にも大事なことだと思います。 実際、健康寿命(日常生活に制限、支障のない年齢)は年々高まっており、 男性で72歳以上、女性で75歳程度です。 元気なおばあちゃんが90歳を超えても畑仕事をしたり、お弁当屋さんで働いていたり、会社によっては定年がなく、80歳を超えても清掃の仕事や警備員といった仕事に就いている人も多くいます。 

しかし上の図にある「就業率」というのはフルタイムで働いている人もいれば1時間でも働いている人も含まれます。 65歳以上となると身体的にも若い頃と比べて劣ってくるので働ける職種も限られますし、フルタイムで働くのも大変です。高齢者の場合、単発で働いたり、短時間のみ労働するということも十分考えられます。若い時と同じような給料を稼ぐことは難しいと思いますが、健康で働けるのであれば、医療費もかかりません。それどころか、働いて収入がある人は厚生年金の支給額が減るので(老齢基礎年金は変わりません) 社会保障の健全性を維持するためにも国は「年齢に関わらず働ける人は働いてもらう」というスタンスなのです。

解決策(2):女性の就業率の向上

総務省統計局による2021年5月のデータによると、15歳から64歳までの人口の就業率は77.7%。男性は84%、女性は71.2%となっており女性に対してはまだまだ伸びしろがあり就業率の向上が期待できます。実際に年々高まっています。ただ就業率70%というのは世界的に見ても高い水準であり、これを劇的に向上させるというのは現実的ではありません。また当然ながら子供がいる女性が仕事をするとなると家事育児を誰がするのかといった問題が発生します。 家政婦やベビーシッターといったサービスが新しく生まれてくるというプラスの側面もありますが、 育児のために一旦職場を離れる必要があったり、父親と分担する工夫などが必要です。また、キャリアを追及する女性が増えれば増えるほど、逆に晩婚化や少子化が加速するというネガティブな側面もあります。

保育園の数を増やしたり、遅くまで子供を預けられるようにしたり、結婚や出産をしても女性が安心して働ける環境作りも必要になります。

解決策(3):AIやロボットによる生産性の向上 

AI という言葉がニュースを賑わすことはすでに珍しくなくなってきました。 今では多くの分野で AI を活用したサービスやロボットによる仕分けや運搬などを手がけるビジネスが生まれてきています。 お問い合わせやヘルプで活用されているチャットボットやGoogle などの翻訳サービスを一度は使ったことがある人も多いでしょう。 しかしながら iPhone の Siri や Amazon の Alexa などを使っても、音楽を掛ける簡単な命令や、今日の天気を聞いたりするのであれば便利かも知れませんが、相談相手になったり自由にコミュニケーションを取ったりすることはできません。まだまだ AI も発展途上でAI による自然言語処理はかなり難関な課題です。 

またロボットによる工場での作業や運搬、製造の自動化などは古くから行われていますが、 細かな作業が必要となる歯科医師、外科医、介護士、ツアーコンダクターなどの職業はロボットに代替されることはありません。また、自動運転もまだまだ発展途上。ゆくゆくはタクシーやトラックの運転手などがAIに取って代わられると思われますが、実現には時間がかかりそうです。つまり、SFの世界に出てくるような人型ロボットを量産して、AIの知能を搭載して、あらゆる職業の担い手として活用するには相当な年月がかかることでしょう。

2015年にオックスフォード大学と野村総合研究所による調査で「今後10年~20年後にAIやロボットに取って代わられる職業」が発表されました。一時とても話題になったので覚えてらっしゃる方も多いと思いますが、AIに取って代わられる職業も多くリストアップされていますが、逆に取って代わられないと思われる職業も同じように多くリストアップされています。その傾向を分析すると、「創造性」「協調性」「非定型」の業務に関わる職業はAIやロボットの時代も残るとされています。

解決策(4):外国人労働者を活用する

経済学者の野口ゆきお氏は外国人労働者を日本に向かい入れることの問題点として新聞社とのインタビューで次のように述べています。

「日本人のものの考え方だ。周りに中国人やインド人がいていいと言えるかどうか。もし、いやならばシリコンバレーに行ってどういう世界なのか見てきた方がいい。」

つまり多くの日本人にとって外国人を受け入れるのに抵抗感があるのです。特にAIやロボットが代行できないような、対人間に対するサービスである介護については多くの高齢者に抵抗感があります(実際には多くのベトナム人やフィリピン人が介護しています)しかし、仮に外国人を受け入れることに抵抗がなかったとしても問題があるようです。

「移民についてはもう一つ重要な問題がある。日本人の多くは移民を受け入れていいとさえ言えば、日本に移民がやってくると思っている。20年前ならそうだったかもしれないが、今や来てくれるかどうか。。。」(野口ゆきお氏)

最近、スーパーに行って買い物をすると容量が少なくなった気がする人が多いそうです。菓子類、お惣菜、乾物…。よくよく比較してみると、昔よりグラム数が減っていることに気づく。つまり、日本は多くの原材料を輸入に頼っているため、海外の物価が上がったり、円安になれば当然原価が上がります。なかなか値段に転嫁できないために、量を減らしているのです。

円安になり海外の物価があがると、外国人に取って日本で働くメリットがなくなってしまいます。ほとんどの外国人は日本で働くことで母国よりも多くの給料がもらえることを期待しています。もちろん、治安もよく、自然も豊かで、食べ物もおいしい日本は給料だけでは測れないメリットもあるでしょう。しかし日本語を話せないと暮らしづらいし、友人や家族と離れ離れになってしまうことはマイナスです。そうまでして、母国と給料が変わらなければ日本に来る外国人は少なくなるのは火を見るよりも明らかでしょう。

国内総生産(GDP)は中国に抜かれた日本。幸いまだ一人当たりのGDPは日本のほうが高い。しかし、今後急速に差が縮まっていくでしょう。円安になると外国人が観光に来ると言って喜ぶ人もいますが、本当は、外国人が日本に来て働いてもらわないと困ることになると思われます。

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