⑦日本でも有名になったタイの陶器とは?

(写真はセラドン焼)

タイの有名な焼物といえば、セラドン焼 ベンジャロン焼 ブルー&ホワイトがあります。それに加えて、スワンカローク焼という焼物もありました。 日本では宋胡録(すんころく)と呼ばれ、 安土桃山時代から江戸時代初期にかけて茶人などに珍重されていました。

宋胡録
宋胡録

タイの焼物の歴史は古く、タイ最初の独立王国のスコータイ王朝第3代ラムカムヘン王時代にさかのぼります。ラムカムヘン王は外交政策に積極的で、中国の元朝にも訪れたことがありました。そのときに中国から陶工を伴って帰国し、多くの陶窯を開いたといわれています。 彼らの指導で景徳鎮や龍泉の影響を受けた青磁などが作られ、海外にも輸出されていました。その一つが日本の「宋胡録」で、当時タイで最も陶磁器を盛んに生産していたスワンカロークという街の名前に由来していると言われています。

ゾウや牛などの動物や働く人間など、やさしさや素朴さにあふれたモチーフのデザインが特徴です。 絵付けは絵で作られるものが多く、模様をつけないものは青磁やは白磁などでセラドン焼として現在でも広く知られています。

セラドン焼はスワンカローク焼と一緒に伝わり、美しくひびの入った表面が特徴です。 ひび割れは焼き上げた最後の段階での温度差によって生じるもので、緑色の素朴な色使いが多いのですが、最近ではカラフルに青やワインレッドなども増えてき ました。

ベンジャロン焼
ベンジャロン焼

一方ベンジャロン焼は、王室御用達の物で、5色またはそれ以上の色を使ってきれいに装飾されており、模様に彩を施した色鮮やかな焼物です。 アユタヤ王朝後期の16~17世紀前半に中国(当時は明)から、白い磁器に多色の上絵具を焼き付ける技法が伝わりました。当初は金彩がなかったのですが、ラーマ2世時代に金の縁取りを施した豪華なスタイルが確立し、王室専用の磁器として生産されるようになりました。タイの伝統的な柄をモチーフにしたデザインが魅力です。

そして、もう一つがブルー&ホワイトと呼ばれるもので、レストランなどで出される食器によく用いられています。白磁に青の上絵具で植物などをイメージしたデザインが多く、 幾何学などの美しい細かいデザインもあります。景徳鎮の流れを引いたもので、これもとてもポピュ ラーで日常用に使われます。

タイ人とタイ料理を食べに行った時などに、レストランで使われる器に注目して陶器の話をすると面白いと思います。

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