人事担当者必見!職場のメンタルヘルスを改善する最新のフレームワーク

2022年10月20日、公衆衛生局長官ヴィヴェック・マーシー博士(Dr. Vivek Murthy)は、労働者とコミュニティの健康と福利厚生(幸福)を促進する上で職場が果たすべき基本的な役割を概説した「職場におけるメンタルヘルスと幸福のための公衆衛生局長官フレームワーク」を発表しました。新型コロナウイルスのパンデミックがアメリカ人の生き方や働き方に大きな変化が起こったことことで、「静かなる退社」と「偉大なる辞職」が起こっています。こうした社会の変化に組織、会社、企業も変革する必要性に迫られています。

日本も同じような状況に置かれています。パンデミックによって働くことに関する考え方に大きな変化が生まれました。そして職場のメンタルヘルスについて関心が高まっています。

厚生労働省によると、過労が原因の脳・心臓疾患での労災認定は21年度で172件(前年度比22件減)で、うち過労死は57人(同10人減)でした。電通の女性新入社員の過労自殺を機に働き方を見直す機運が広がった17年以降、減少傾向にあるようです。しかし一方で、うつ病などの精神障害を患い、労災認定される件数は増加し、うち自殺(未遂を含む)は横ばいが続いています。

この米国で提言されたフレームワークは、組織で働く人々、そして様々な事業者(会社や企業)に対し、リーダーが従業員のメンタルヘルスと福利厚生(幸福)を支援する方針と実践を展開するための5つの必要事項を提案しています。これは日本の企業や組織にも応用することができます。

平均的なフルタイム労働者や正社員は起きている時間の約半分を通勤や職場など、仕事に関することに費やしています。そのため、仕事は私たちの心身の健康を形成する上で重要な役割を担っています。逆に言えば、雇用主は労働者(従業員や社員)のメンタルヘルスと福祉に貢献することで、組織の成功に資するまたとないチャンスを手にしているとも言えます。

「健全な労働力は、繁栄する組織とより健全なコミュニティの基盤である」と、ヴィヴェック・マーシー公衆衛生局長官は考え、「そして、この公衆衛生局長官フレームワークは、具体的な取り組み方法を示しています。組織がどのように従業員をダメージから守り、従業員同士のつながりを育み、社員の価値を認め、仕事以外の生活の場を提供し、従業員の成長を支援するかを考え直さなければなりません。その価値はあります。なぜなら、労働者にも組織にも同様に利益がもたらされるからです」と述べています。

パンデミックにより、多くの米国人労働者にとって、仕事と幸福の関係がより明確になりました。最近の調査によると、2021年の調査では、米国の労働者の76%が、メンタルヘルス疾患による症状(不安、うつ)を少なくとも1つ報告し、わずか2年間で17ポイント増加しました。81%の労働者が、今後、メンタルヘルスを支援する職場を探すと回答しています。84%の回答者が、メンタルヘルスにマイナスの影響を与えた要因を少なくとも1つ経験していると回答しています。

日本でも同様の調査が行われ、大きなストレスを抱えている現状が浮き彫りになっています。厚生労働省の新型コロナウイルス感染症による国民の心理面への影響についての調査結果がこちらで見られます。

大きなストレスで悪化するアメリカ人の精神状態

このフレームワークはメンタルヘルスと幸福を最大限にサポートする方針、プロセス、慣行を開発、制度化、更新できるように5つの要諦を概説しています。

フレームワークの5つの要諦

① 健康被害からの保護

身体的・心理的安全のための条件整備は、職場における精神的健康と福祉を確保するための重要な基盤です。健康被害からの保護をより確実にするための対策は以下のようなものがあります。

十分な休息を確保
十分な休息を確保
  • 職場の身体的・心理的安全性を第一に考える
  • 十分な休養の確保する
  • メンタルヘルスの重視を奨励し、サポートする
  • 多様性、公平性、包括性、アクセシビリティそれぞれの規範、方針、プログラムを運用する

② つながりとコミュニティ

職場における積極的な社会的交流と人間関係の促進は、労働者の幸福につながります。つながりやコミュニティを確保するために、職場は以下のことを行うことができます。

チームワークとコラボレーション
チームワークとコラボレーション
  • 包括的で帰属意識の高い文化を創造する
  • 信頼される関係を育む
  • コラボレーションとチームワークを促進する

③ ワーク・ライフ・ハーモニー(ワークライフバランス)の調和

仕事と生活の調和は、仕事と生活の対立を生むことがあります。ワークライフバランスをより良くするために、職場は次のようなことを実践できます。

仕事とプライベートの区別をつける
仕事とプライベートの区別をつける
  • 労働者(従業員、社員)に仕事の進め方についてより多くの自主性を持たせる
  • 可能な限り柔軟で予測可能なスケジュールを組む
  • 労働者(従業員、社員)に有給休暇の取得を促進する
  • 仕事とプライベートの区別をつける

④ 存在価値

人は自分が周囲にとって重要な存在であること、そして自分の仕事が重要であることを実感したいものです。自分が重要であることを知ることは、ストレスを軽減につながることが証明されています。反対にそうでないと感じると、うつ病のリスクが高まります。職場で「自分の存在価値がある」という文化をより確かなものにするために、次のようなことを実践することができます。

感謝と承認の文化を構築
感謝と承認の文化を構築
  • 適切な賃金を提供する
  • 職場の意思決定に労働者を参加させる
  • 職場で感謝と承認の文化を構築する
  • 個人の仕事と会社のミッションを結びつける

⑤ 成長機会

企業、会社などの組織において、従業員や社員が自らの能力と成長に応じた目標を達成する機会をより多く設けます。そうすることで、従業員や社員は自らの能力に対してより肯定的、楽観的になり、組織への貢献に対してより積極的、且つ意欲的になります。成長の機会をより確実なものにするために、職場では以下のような取り組みを行うことができます。

双方向のフィードバック
双方向のフィードバック
  • 質の高い研修、教育、指導を提供する
  • キャリアアップのための明確で公平な道筋を育成する
  • 適切で双方向で相互的なフィードバックを確保する

このフレームワークは、公衆衛生問題への注意を喚起するためのガイドラインで、国民が健康に影響を与える要因についてより良く理解し、対処できるように開発されたものです。このフレームワークは、職場の管理者やリーダー、および人事担当者がすべての労働者(従業員、社員)を巻き込み、彼ら、彼女らのメンタルヘルスと幸せを平等にサポートするために、重要な構成要素の基礎となる「エッセンシャル(必須事項)」です。さまざまな規模や多様な業種のリーダーや幹部が、組織を再構築し、活性化させるために適用することができます。エビデンスに基づいた実践も含まれています。

マーシー博士は、「国家の医師」、すなわち21代目の米公衆衛生局長官として、最近発表した「若者のメンタルヘルス」と「医療従事者の福利」に関する公衆衛生局長官勧告など、国がパンデミックから力強く回復するための方策について多くの仕事、研究を行い、公共政策に焦点を当てています。この「職場におけるメンタルヘルスと幸福のための公衆衛生局長官フレームワーク」は、2023年度大統領予算にも反映されている「大統領の統一アジェンダ」の重要な部分です。すべてのアメリカ人のためのメンタルヘルスサービスを変革するというジョー・バイデン大統領の政府全体にわたる戦略を支援する、米保健福祉省(HHS)の進行中の取り組みの一部でもあります。2022年3月の大統領一般教書演説の後、HHSのハビエル・ベセラ(Xavier Becerra)長官は、薬物使用、若者のメンタルヘルス、自殺など、新型コロナウイルスの流行によって悪化したメンタルヘルスに関する課題に取り組むため、「メンタルヘルスを強化するHHS全国視察」をスタートさせました。

より詳しいフレームワークについては後日、こちらで紹介したいと思います。


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