『マネーボール』の著者マイケル・ルイスが語る、経営者やエリートが見落としがちなこととは?

マイケル・ルイスは、元ウォール街の債券セールスマンから作家に転身した人物です。彼の著書『ライアーズ・ポーカー』は、彼が働いていた投資銀行、ソロモン・ブラザーズの1980年代の隆盛を描いたものです。

マイケル・ルイス:

大企業を経営する人々が、自分に何千万ドルも支払うことを良しとするのは、言語道断だと思います。その代わりに、「自分には会社の模範となる義務がある、と考えるべきでしょう」。

私がウォール街で仕事をするようになったのは、偶然でした。ウォール街で仕事をするようになり、本当はやってはいけないことなのに、金融のアドバイスをするために巨額の報酬をもらうようになると、自分には価値があるのだと錯覚した。しかし、その仕組みを理解した後は、その仕事に興味を失い、その傍らで作家としてのキャリアを積んでいきました。

何かを書く前に、本当に理解することにこだわれば、説明することができます。私は、長い間この業界で働き、かなり複雑な金融の概念に取り組まなければならなかったので、金融の世界でも、いかに嘘が多いか、また、理解していないのになんとなく理解しているように思われることが多いかを知っているという点で有利な立場にあります。

ですから、私は自分が適切な説明を受けたと思うまで、恥ずかしがらずに人を突き放すことができます。ハリウッド、シリコンバレー、ワシントン、ウォール街など、アメリカの野心的な舞台では、人々は物知りである。彼らは、自分が知らないとは思いたくないのです。そして、知らなければバカだと思われると考えている。

そして、それがより大きな愚かさにつながっていくのです。ウォール街の道徳的な問題は、人々が悪いことをしようと思っていることではありません。それは、人々がやっていることとはまったく違います。悪いことをするのと同じくらい、良いことをしても儲かるのであれば、良いことをした方がいいと思うのです。でも、彼らはお金を稼ごうとしている。

私たちは、エリートがかつてないほど権力を持ち、長い間持っていなかったほど富を共有している社会に生きています。しかし、彼らが社会に対して義務を感じているかどうかは明らかではありません。

人は自分の人生や成功について語るとき、巻き込まれた事故や受けた助け、感じるべき感謝の気持ちをすべて忘れてしまう傾向があります。

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