日本の医療制度はなぜ在住者と旅行者の両方に優れているのか

日本の医療制度は、そのアクセスの良さ、費用の安さ、そして効率性でしばしば高く評価されています。日本に住んでいる外国人、あるいは観光で訪れる人々にとって、この制度を理解しておくことは非常に重要です。以下は、個人的な体験やよくあるケース、そしてアメリカやカナダとの比較を含めた実用的な解説です。


1. 日本在住者にとっての医療制度

日本では公的健康保険制度が運用されており、以下のいずれかに加入することが法律で義務づけられています:

  • 会社員などの雇用者は「健康保険(社会保険)」
  • 自営業者や無職の人は「国民健康保険」

保険料は雇用主と従業員で折半する形で納められ、支払額は給料に応じて変動します。つまり、収入が多ければ保険料も高くなります。たとえ若くて健康であっても、月3万円以上かかることもあります。それでもこの制度は「支え合い」を前提としており、健康な人が病気の人を支える仕組みです。

病院やクリニックにかかった場合、医療費の自己負担は原則3割です。薬代も同様です。さらに、月ごとに「高額療養費制度」により負担額には上限があり、大きな手術や高額治療を受けても、実際の自己負担は10万円以下におさまることもあります。

私自身も以前大きな手術を受け、手術費用全体で150万円ほどかかりましたが、実際の自己負担は10万円以下でした。これは日本の医療制度の大きな強みだと実感しました。


2. 他国との比較:カナダとアメリカ

カナダも公的医療制度を持っており、基本的な医療サービスは無料です。ただし、医師不足や病院の混雑により、待ち時間が非常に長いのが現実です。専門医の予約には数週間から数か月かかることも珍しくありません。

一方、アメリカでは民間の保険に依存する制度が中心で、保険がなければ非常に高額な医療費が請求されます。保険があっても、自己負担額(deductible)が大きく、入院や手術となると数千ドル、数万ドルの支払いが発生することがあります。

これらの国と比べると、日本の制度はコスト面でもアクセス面でもバランスが良く、多くの人が安心して医療を受けられる環境が整っています。


3. 保険未加入でも診療可能な場合

外国人住民は健康保険への加入が義務です。未加入でいた期間がある場合、後からその期間分の保険料を請求されることがあります。

ただし、保険に加入していない観光客や短期滞在者でも、ほとんどのクリニックや病院で全額自己負担で診療を受けることが可能です。

例えば、以前外国人観光客をガイドをしていた際に、12歳の女の子が中耳炎になり、耳が聞こえにくくなってしまいました。予約なしで東京の耳鼻科を訪れたところ、わずか15分ほどの待ち時間で診てもらうことができました。聴力検査、耳掃除、診察すべて込みで約1万1000円。さらに薬代(抗生物質や鼻スプレーなど)も含めても、トータルで1万3000円程度。海外では考えられないほどリーズナブルでスムーズな対応でした。


4. 旅行者への対応と医療の親切さ

観光客にも日本の医療は非常にやさしいです。都市部のクリニックや薬局では英語対応ができるスタッフがいたり、英語の説明書を用意してくれるところも多くあります。外国人でも気軽に受診でき、迅速で丁寧な対応が受けられるのは、日本ならではの安心感です。


5. 医療制度は日本の誇り

私の医師の友人(UCLAで研究中の日本人医師)も「日本の医療制度は世界的に見ても非常に完成度が高い」と言っていました。費用の透明性、質の高いサービス、そしてアクセスの良さ。これらが揃っているのは、世界でも珍しいことです。

日本の医療制度は、在住者にとっても旅行者にとっても、信頼できる生活の基盤となっていると感じています。

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