⑦インド人がお酒を飲んではいけない理由
(インドのヤシ酒)
インドでは一般に飲酒の習慣はあまり ありません。 「飲酒は悪しき」という考えが底辺にあるからです。 インド人の多くを占めるヒンドゥー教徒は禁欲的。 その次に多いイスラム教徒も基本的に禁酒です。 一年の大半が暑いという気候も影響しているのでしょう。
それでも少ないながら、インドでもお酒を飲む人たちがいます。 どんなお酒があるかというと、地酒ではパーム椰子か ら作る発酵酒の「ヤシ酒」や蒸留酒の「アラック」などがあります。 酒屋でよく売っているのは国産のウイスキー、ラム、ジンなどの小瓶です。 だいたい一瓶150円ぐらいと格安ですが、味も値段相応です。 関税が高いためウイスキーなどの輸入酒は日本よりも高く、一般庶民にはかなりの贅沢品です。
そんな中でインド人に一番受け入れられているのはビー ルでしょう。 暑い国ではやはり冷えたビールが一番。種類 も多く、州ごとに個性的なビールがあります。 もっとも有名なのが日本のインド料理店でもおなじみの「キングフィッシャー」です。しかしビールもインドでは決して安いものではありません。 日本円にすれば200円程度です が、物価を考えるとインド人にしては1本1500円ぐらいの感覚でしょう。 そうそう飲んでいられません。
また、インドではお酒が飲める場所が限られています。 五つ星のホテルを除けば、ホテルのパーミットルーム (BAR) か、外国人向けのレストランぐらいでしょう。 外国人向けのストランでも、 メニューにはなく頼むとこっそり出してくれるところもあります。 酒類の販売ライセンス料が高いこともありますが、インド人の間では相変わらず飲酒は見栄えが良くないのも理由です。
さて、選挙が荒れ、しばしば暴動が起きるインドでは、その前後2~3日にアルコールの販売が一切禁じられる「ドライ・デー」が実施されます。 「酒を飲んで暴れる」ことを警戒するだけではなく、禁酒を訴える政党や議員の支持者たちに店が襲われる可能性があるからです。高級ホテルのバーも例外ではないので、その時期にインドへ行く予定がありお酒を飲みたい人はあらかじめ買って部屋に置いておきましょう。
インド人がお酒を飲まない理由は宗教的なこともありますが選挙で暴動が起こらないようにするという意味もあるのです。