ビルマとミャンマーの違い

 日本で売っているミャンマーのガイド ブックのタイトルは「ミャンマー(ビルマ)」ですが、欧米のガイドブックには 「Burma (Myanmar)」 と逆になっているものもあります。英語圏のニュースでは「ビルマ」の呼称がよく使われていることに気づいく人もいるでしょう。 どちらが正しい のでしょうか?

 第二次世界大戦後の1948年、英領ビルマは「ビルマ連邦」として独立します。当時の国の実力者はウーヌでしたが、やがてネーウイン将軍が力を増し、1962年にクーデターを起こして政権を掌握し社会主義化を始めました。ネーウインは大統領になり、1974年に国名を「ビルマ連邦社会主義共和国」に変えます。 1988年、ネーウィンの独裁政治に対し反政府デモが起きると、まもなくそれが全国的な民主化運動に発展します。 その時複数政党制の導入が求められますが、国軍が全権を掌握してデモ隊に発砲。世界中の非難の声を浴びながら、軍政を実施します。 このような流れの中で、1989年6月に軍政側は国名の英語表記を「ビルマ (Union of Burma)」から「ミャンマー」 (Union of Myanmar) に変えたのです。

 しかしアメリカやイギリス政府、及び人権団体などは、改名を軍事政権による一方的なものとして、現在も「ビルマ」の名称を使っています。 改名を認めることは軍事政権の正統性を認めることになるからです。そのため、EU諸国でも「ビルマ」と「ミャンマー」を併記している国が多いようです。

 ところが日本はどうかというと、「ミャンマー」への変更をいち早く承認しました。経済的なつながりが深いことや、ネーウイン政権とも比較的うまくやってきたこともあり、主義より実利を優先したためです。 外務省の決定に従い、多くのマスコミはそれに従うか「ミャン マー(ビルマ)」と表記するようになりました。有名な日本兵をモデルにした小説『ビルマの竪琴』は第二次世界大戦の話なので、その当時の国名を使用しているからです。

「Burma」 は英語の発音では「バーマ」に近く、ビルマ語の「バマー」から来ています。 もともとビルマ語では「ミャンマー」も同じ意味で、現地の人にとっては大きな差はありませんが、どちらかというと「ミャンマー」の方が文語的な表現のようです。 「にっぽん」と「にほん」があるようなものでしょうか。

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