このような形で主に週末農業を楽しむ人たちの始めるきっかけは様々だが、「息抜きのため」「収穫するのが楽しい」「癒されるため」「子供の成長のため」「無農薬の野菜がほしいため」といった声が多い。中には、はまってしまい、もっと大きな場所を借りるため別の貸し農園に移る人もいるという。コンピューター関係の仕事に就く40代の独身男性は、「ここでいろいろ教えてもらって、5年後には一人で農業が出来るように独立したい」と語る。以前は別のところで借りていたが、誰も教えてくれる人がいなかったため、作物がうまく実らなかったという。同居する両親から栽培を頼まれたサニーレタスもうまくいかなかった作物の一つで、「リベンジの意味もあり、今度は成功させたい」と意気込む。
交流を求めて
上述したように、貸し農園を借りている人に始めるきっかけを尋ねても「交流のため」という声は直接は聞こえない。だが、Nishitsujiは「みんな絶対(交流したいという気持ちを)持っています」と断言する。「単に無農薬の野菜がほしいのであれば、スーパーにいって買ったほうが安い。ここに来るということは、プラスアルファ欲しているものがある」という。具体的にプラスアルファとは気軽にあいさつを交わせるような雰囲気や自然であったり、農作物の作り方やおばあちゃんの知恵的な知識だったり農業が持っている全体を指すという。お客さんに交流の機会はないか直接尋ねてみると、「隣の区画の人と育てている作物のことで気軽に話す」という人や「子供同士が虫取りを一緒にしたりして仲良くなった」という家族連れがいた。マイファームでは秋の収穫祭やBBQイベントなどを通し、お客さん同士が交流する機会を設けたり、独身者向けに「畑で婚活」という畑を舞台にした、いわゆるお見合いパーティーをしたり農地の様々な可能性を引き出している。千葉県で農業の実践教室を行っている有限会社フォトシンセシス代表のYuki Takahashiは「あいさつだけで仲は深まらない。農業という共同作業を通して人間関係ができる」と話す。「畑で婚活」イベントでは農地という場所を活かし種の作付けを男女で一緒に行うことで相性を判断してもらうとのこと。