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組織と自分を変えるヒント:レゴブロックに学ぶリーダーシップ

By ケン・パールマン

私が娘たちとレゴブロックで遊んだある週末の3日間に気付いたこと。それは、この遊びを充実したとても楽しいものにすることと、クライアント企業に組織変革の実行をしてもらうことは相通じるということです。

私たちは、“楽しむ”と“変革”という表現が、同じ文章で使われるのをあまり見かけることはありませんね。しかし、私が娘たちとレゴブロックで遊んだ週末を素晴らしいものにできた法則のいくつかは、私のクライアント企業にも活用することができるのです。こうした法則は現在、私のクライアントで大きなところ(世界で何千人もの従業員を抱えている会社)から小規模なところ(数百人程度の従業員がいる事業所)まで実際に活かされています。

では早速、レゴブロックに学ぶリーダーシップの法則を紹介しましょう。

法則その1:最初に成功の形をイメージする

レゴの商品の箱には完成時のイメージ写真が印刷されています。いずれも素晴らしいでき栄えのものばかりで、見ているととてもワクワクします。ただし、箱の中に入っている袋の数やブロックの数、手順数などは箱にもほとんど示されていません(こうした情報はワクワク感をぶち壊しにするだけでしょう)。それにきっとみなさんは、商品を購入する前から、でき上がりの形に心を奪われているでしょうし、購入してつくり始めたあとは、完成に至るまで“もうあとちょっとのところだ”という気分になるでしょう。それはなぜかというとすでにでき上がって成功したときの“素晴らしい形”を心に描いているからです。

ところで企業経営における多くの場合、経営陣は完成したイメージを基に社内に勢いをつくり上げていくようなことはしていません。むしろ時間と手間暇が掛かり、従業員の自信をなくさせるような、とてつもない戦略を考案して日々活動しています。そうした戦略はワクワク感をしぼませてしまいます。成功の形の鮮明な(素晴らしい)イメージを描いたり見せたりすることはほとんどありません。しかし、実は、レゴの完成品のようにイメージさせることこそが人々を惹きつけ、時間を掛けてすべてのブロックを組み合わせ、成功を実現するための意欲をかき立てることにつながるのです。

 法則2:足りないものは代用する

レゴをつくっているとき、ごくまれではありますが、レゴブロックが足りなくなることがあります。しかし、こうした難局に直面しても娘たちは怯んだり、あきらめムードに陥ったりすることはありません。逆に、“イノベーションムード”に入ります。スペアのブロックが入った箱を引きずり出してきて、その中から代用できるものを探してつくり続けます。

組織変革ではどうでしょうか。会社の同僚が今までいったい何度、「それはうまくいかないよ。なぜなら……」とか、あるいは「それはすでに試してみたよ」と言ってきたことでしょう。もちろん、そうした“口実”により、時に、昔の過ちをくり返せずにすんだこともあるでしょう。しかし、もう一度過去に戻って昔のブロック(つまり教訓、知恵や功績)を再度当てはめてみようとすることはあまりしないのではないでしょうか。

しばしば私たちは、使える道具、人などの社内外のリソースや教訓を忘れています。忘れているだけでしかし、それは実際は近くに存在しているのです。そうしたリソースが詰まった昔の箱をほとんど使おうとしないだけなのです。

 法則3:説明書は無いよりはまし

説明書はとてもいい、通常は……。しかし、レゴで言えば、どの丸いブロックがどの四角い穴に入るか判断がつかないことがあります。私は説明書を何度もめくったり、先に進んで別のイメージを確認したりしてしまいます。ところが、娘たちは単純に自分たちができる最高のものを組み立てていきます。「それを試してみてうまくいくか見てみよう!」と言ったりしています。この怖れを知らないチャレンジはイノベーションを加速するためにとても重要な要素なのです。

起こりうる最悪のこととはなんでしょうか? レゴについて言えば、結局のところ何もありません。これに対して多くの事業や会社においては、もちろん、実際にリスクが存在します。しかし、もしかしたら多くのリスクと考えられているものは、しばしば、予測できない結末ではなく、実は人から見られて間違っていると思われることではないでしょうか。ですから、もしそうした怖れを取り除くことができれば、スピード感を持ってチャレンジし続ける能力が向上するはずです。指導する立場にある人は、チャレンジ、学び、そして形づくる人たちを勇気づけたり、それに報いることがとても大切なのです。

 法則4:一緒に働く人が多ければそれだけ楽しい

自分ひとりでレゴに取り組むのはとてもおもしろいことです。しかし、娘たちと一緒に体験を共有する(正確には、娘たちが私と体験を共有すると言ったほうがいいでしょう)ことのほうがよりいっそうおもしろいものです。私のクライアント企業は100人に1時間ずつ自発的に協力してもらうほうが、ひとりに100時間割いてもらうことよりも簡単だと言います。異なる人々、さまざまな観点や経験によって自由闊達なコラボが実現するのです。それぞれの参加者が異なる力を発揮して、迅速で、進化した、無理のないのびのびしたイノベーションを可能にするのです。

法則5:でき上がりの質は想像力如何

私が子どものころは、レゴにはカスタムパーツがほとんどありませんでした。タイヤやフロントガラスぐらいだったでしょう。今では、実にたくさんのカスタムパーツがあります(道具類、縦に開閉するコックピット、 武器の発射台など)。しかしそれでも、娘たちは変化を加えます。彼女たちに言わせれば、“改善”を加えるのです。

娘のひとりはせっかくつくり上げたレゴのバイクを、固い木製の階段に落として壊してしまいました。ですが意気消沈することはありませんでした。彼女はこれをいい機会と見たのです。「よし、これでもっといいものがつくれる。もっと早く動いてほしかったのに、重過ぎたんだよね」と言ってのけたのです。彼女はいらない部分をそぎ落とし軽くして、もう一度組み立てなおしてしまいました。つまり大事なことは、最終的にはつくり手の想像力の賜物だということです。

さて、指導者の立場にある読者の方は、従業員に対して会社がどのように大きな変化を成し遂げられるのか、その雰囲気をつくることができるのです。あなたは怖れのない(しかしきちんとした情報に基づいた)チャレンジやイノベーションの機会を与えることもできれば、説明書を掲げて「そうしたやり方は間違っている」と言うこともできるわけです。そのどちらを選ぶかはあなた次第です。

ケン・パールマン

経営陣が迅速に戦略を実行に移すことを手助けするコンサルタント会社Kotter International (https://www.kotterinternational.com/)の経営コンサルタント。

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