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怠けた社員をビシッとさせる5つの方法

怠けた社員をビシッとさせる5つの方法

デニス・ゴーイン Kotter International 副社長

《ジョン・P・コッターからのプロローグ》以前、戦略を実行するために、組織に緊急性を持たせる方法について解説しました。この記事では、通常の業務遂行において社員一人ひとりに緊急性を持たせ、やる気を起こさせる方法について説明します。私の同僚デニス・ゴーインは停滞気味の組織を再び活性化させる優れた能力と豊富な経験があります。彼は成功が続いたため現状満足に陥り緊張感がなくなった会社と、その逆に次々と噴出する新しい脅威に対応するため慌てふためいている会社の両方と関わってきました。経営者は組織や社員の現状満足や偽りの緊急性を真の緊急性に変えるにはどうすればいいのでしょうか?


実は人間の心というのは常に緊急性を求めています。信じられるものは何か、目的を与えてくれるものは何か、私たちは常に心が向かっていくはけ口を探しています。会社のビジョンに感銘し、そのビジョンに基づいて行動することが許されたとき、私たちは真の緊急性を抱くことができます。その逆に、ビジョンとは相容れない方針や、これはやるべきでない、やってはいけない、やることができないと言われると、出来ないことにフォーカスしてしまい、何もしないことに緊急性を感じてしまいます。

私は最近、スタインウェイ・アンド・サンズのグランドピアノの製作現場を見学しました。スタインウェイといえば世界最高峰のピアノを作ることで有名です。一台のピアノを製作するには、完成するまで一年あまりかかります。先月は一か月かけて、その味わいのある特徴的な音色を生み出すために職人さんが4つのチューニングを施していました。これらのチューニング作業はとても繊細で正確性と緻密さが求められるため、それぞれ別の職人さんが行います。

スタインウェイ・アンド・サンズで働く職人さん

この会社は170年もの歴史があり、一つの仕事を25年も続けている職人さんが何人も働いています。それでも彼らは常に緊急性とやる気を持って仕事に打ち込んでいるのです。どうしてモチベーションを保っているのか聞いてみたところ、彼らは次のような点を挙げました。

「世界に2つと存在しない唯一のピアノを作っていること」

「常に新しい発見や気付きがあること」

「素晴らしい会社で働いていることと、自分がその中で重要な役割を与えられていること」

「自分がしている仕事は他の誰も真似ることができないこと」

ここで、組織の中で「偽りの緊急性」がどのように発生するのかその原因について見てみましょう。部下が仕事を学び、きちんと遂行できるようになったら、上司はその仕事がミスなく継続して行われることを望みます。上司によってはそれ以上のことを望みません。その仕事を着実に遂行してくれれば独創性など発揮してくれなくても構わないのです。そこには新しいことに挑戦するはけ口は存在しません。

こうした状況が普通になってしまうと、緊急性を持ちたいという人間の気持ちは“できないことのルール”に縛られてしまいます。逆に、スタインウェイのような会社では、そこで働く人の気持ちは「私はできる。だから緊急性を持って取り組もう」となります。しかし、先のような上司の下で働いていると、従業員は「私はできない。だから何もしないことに緊急性を持とう」となってしまいます。このような状況には2つのパターンが存在します。

現状満足型

これはそこで働く人たちが成長や改善に向かってほとんど何もしていない状況で、出来ないことを合理化してしまっているのです。これは過去に何度も新しいアイデアが揉み消され、あるいはいつの間にか雲散霧消になってしまったことが原因です。仕事のマニュアルから外れたことをするのはいけないことだと学び、そうした状況をすっかり受け入れてしまったのです。こうした現状満足に陥る前に従業員は次のような気持ちを抱きます。

「おそらく何も新しいことはさせてくれないだろう」

「これは今までやってきた方法とは違うと言われるだろう」

「確かに、みんな変わらなければと言っているけど、実際には誰も変わっていないじゃないか」

偽りの緊急性

これはそこで働く人が単に“忙しそうに”働いていることです。この状況からは現在遂行している仕事に付加価値を加える、つまり現状をさらに良くしようというはけ口は生まれてきません。こうした状況は“今週の戦略”のようなものを掲げて常に変化に対応しようと表面的に努力している会社に多く見られます。こうした会社からは以下のような声が従業員から多く聞かれます。

「一日中いつも会議ばかりで、時間を取られてしまう」

「いつも同じことの繰り返しで、何の成果も生まれていない」

「このプロジェクトにいつか終わりが来るのだろうか?」

現状満足型と偽りの緊急性は従業員の離職率や売上に悪影響を与えます。では、どうすれば真の緊急性とやる気を従業員に持たせることができるのでしょうか。次のヒントを実行してください。そうすれば真の緊急性が生まれ、会社を前進させることができるでしょう。

■真の緊急性を持たせる方法

  1. 従業員に仕事をマスターさせたら、上司は会社全体や自分の仕事にさらなる価値を生み出すためのやり方を見つける。
  2. 1のやり方を従業員本人に考えさせる。
  3. もし会社が何かを変えようとしていて、その変化がある従業員に影響を与える場合、その人を決定過程に関与させること。そして彼らの意見を尋ねること。
  4. 従業員一人ひとりを“マスター職人”のように扱い、他の従業員の教育やコーチング、メンターとしての役割も与えること。
  5. 会社の大きなビジョンを従業員と共有すること。会社の存在意義は、会社はどこへ向かっているのかといったことを。(たとえそれが何百年という歴史のある会社であっても)

上司には部下が会社にさらなる価値を与えることができる方法を見つけさせてください。そして生み出された新しい価値を表面化し、認めて、報酬を与えることです。鍵となるのは、くすぶっている従業員の緊急性にスイッチを入れることです。彼らが共感する会社のビジョンについて語り、その共感に基づいて行動することを奨励するのです。170年もの歴史がある会社でも、そこで働く人たちは真に緊急性を持っているのですから、私たちができないことはないはずです。

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