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顧客とのコミュニケーションをデザインする: 会話デザインとは?

顧客とのコミュニケーションをデザインする: 会話デザインとは?

コミュニケーションの成否がビジネスの成否を左右する

お客様とのコミュニケーションはあらゆるビジネスの中心にあります。 商品やサービスであれ、それを提供するお客様との人間関係、コミュニケーションはとても重要です。 英語ではカスタマーリレーションと呼ぶでしょう。 この顧客との関係で大事なのは、継続的な関係を育み、 人や企業コミュニティとのつながりを長期的な観点から強化する体験を作り上げることです。

このカスタマーリレーションで大事なのが「会話」です。 もちろんコミュニケーションと言っても構いません。この会話あるいはコミュニケーションをいかに構築するか、 これを会話デザインと呼びます。

アメリカの多くの企業ではユーザーエクスペリエンス(UX)の次は、 この顧客との対話であると考えています。 それはどういうことかと言うと、ある企業のウェブサイトやカスタマーサポートで問い合わせをしたり、あるいはスマホで Amazon の Alexa や Apple の Siri に尋ねることを想像してみてください。 カスタマーサポートに電話するだけでなくAIボットとチャットをしたり、自動音声に対して返答したり、もちろんテキストで入力したり様々の方法でビジネスを提供する会社と接してきていると思います。

そうした企業とのやり取りでコミュニケーションがうまくいったかいかないかであなたのその会社に対するイメージが大きく変わってくると思います。 あなたが必要なものを素早く簡単に手に入れることができれば当然良い印象を持つと思います。

逆にこうしたやり取りがうまくいかないとその企業に対して悪い印象を持つようになります。信頼も一気になくなってしまうでしょう。そのためますますこの会話デザインが重要になってきているのです。

ボットが主流になりつつある

この会話デザインはもちろん対面で行うこともありますし、電話や音声、テキスト、 あるいはビデオチャットなど様々な形で行われます。人間であれば、カスタマーサービスの担当者をトレーニングしたり、コミュニケーションの流れやダイアログの例を作成したりすることでより良い会話デザインが構築できます。

人間にかわってコンピューターが行うボットは、チャットボット、サービスボット、 デジタルアシスタントのような名称で呼ばれています。ボットは、デジタルファースト社会におけるブランドとお客様との対話の王道になりつつあります。音声でもテキストでも、チャットボットは多くの顧客と定期的に効率的にコミュニケーションをとるためのこれから主流になる手段です。

チャットボットがすべての顧客の問題をすべて解決することはできなくても、サポートリクエストをトリアージすることで、プロセスをスピードアップすることができます。適切に設計されたチャットボットは、できるだけ多くのお客様をFAQや自助用ナレッジページ、その他の自動解決策に誘導し、人間が介在するサポートの列を短くすることができます。

より良い会話デザインとはブランドにとってとても重要です。そのためには本当に双方向のカスタマーエンゲージメントを大胆にデザインすることが必要です。 人々がオンラインで過ごす時間は、かつてないほど長くなっています。デジタルファーストな体験や取引の結果、私たちは企業からのサポートをより必要とするようになりました。

世界中の人々は、さまざまな企業のアプリやWebサイト、サポート用の電話番号を通じて、音声ボットやテキストボットと毎日何千もの会話をしています。優れた会話のデザインは、何千人ものお客様がそれらの会話から「簡単だった!また買おう!」と思っていただけるようにします。またこの店で買い物をしよう!」と思ってもらえるようにします。一方、悪い会話設計では、ボットが問題を解決できなかったり、別のサポートチャネルにスムーズに移行できなかったりしたために、これらの顧客は不便を感じ、さらに悪いことには、誤解を招くことになります。

会話デザインとは?

会話スタイルとは、私たちの話し方のことです。私たちが話すことはすべて何らかの方法で表現され、その方法があなたのスタイルです。あなたのスタイルはフォーマルかもしれませんし、私のスタイルはカジュアルかもしれませんし、他の人のスタイルは、その人が生まれ育った地域の方言や応答時間に大きく影響されるかもしれません。

会話デザイナーにとって最も重要なことの一つは、多くのユーザーがどのような会話スタイルであっても簡単に使えるボットをデザインすることです。言い換えれば、ユニバーサルデザイン(包括的)であることです。

自分のスタイルだけに合わせてボットをデザインすると、他のスタイルを持つ人たちを疎外してしまう危険性があります。それは排他的であり、包括的ではありません。幸いなことに、言語学は私たちの偏見をチェックし、包括的で自然な感覚の会話をデザインするための戦略的な助けとなります。

良い会話のデザインとは

  • お客様がブランドとの間で必要なことをするのを助ける。
  • ブランドがお客様との関係を発展させる上で、かけがえのないものとなる。
  • お客様はブランドとの体験に満足し、またそのブランドと取引したいと思うようになる。

良い会話のデザインは、お客様がやりたいことを成し遂げたり、問題を解決したりするのを賢くサポートします。その結果、ブランドに対する顧客の感情を高めることができるのです。会話デザインとは、将来にわたって会社が何千人もの顧客と交わす数多くの会話をデザインすることです。こうした会話の多くは自動化されていて、ブランドを代表するプログラムされたチャットボットと生身の人間の間で行われます。

悪い会話のデザインとは

  • お客様がブランドから「聞いていない、見ていない」と感じさせる。
  • ユーザーの性別を誤解させる。
  • ブランドのボットが様々な言語に対応できるように作られていないために、お客様を人種的に分類したり、偏見を持たせたりする。
  • 顧客が苛立ちや不満を感じたり、そのブランドとの取引をしたくないと思ったりする。

上記のように、ユーザーが不満を感じたり、疎外感を感じたり、誤解をしたり、圧倒されたりすることのないよう、会話をデザインすることが必要です。 最近の会話デザインでは、何十年にもわたって行われてきた言語パターンの研究を活用して、コミュニケーションの戦略的なシステムを構築するようになってきています。

良い会話デザインのために戦略的な思考を持つ

会話のデザインがデザインと呼ばれるのは、何をどのように話すかということに戦略的な思考があるからです。ビジュアルではなく言葉。単発的なものではなく、体系的なものです。この記事の後半でパターンや談話標識などに関する言語学的研究の洞察を説明します。

会話デザインを想定する状況

良い会話デザインを構築するには、どういう状況で会話がなされるかを想定する必要があります。 どのような状況を想定する必要があるでしょうか。

1. 会社が取り組んでいる製品体験のあらゆる側面に会話が関わっている場合

例えば、AIを使って人と人との会話を観察したり評価したりする場合(例えば、営業電話で営業マンと顧客の会話が重なっていないかどうかを監視する場合)、また、システムとユーザーの会話を作る場合(例えば、チャットボット)にも関係します。

2. 製品やサービスとユーザーとの対話の中で、ターンテイキングが行われる場合

例えば、チャットボットのように、システムが顧客に対して言葉を発し、顧客がそれに対して言葉を返すのであれば、それは会話になります。しかし、例えばウェブページ上でシステムがお客様に言葉を提示し、お客様が言葉で返答できない場合は、会話とは言えません。

会話を通じて生身の人間と関係を築くボットをデザインするにはどうすればいいのでしょうか?実際の会話デザインプロセスを見てみましょう。

会話デザインの構築

会話デザインの構築とは、何をどのように言うかを戦略的かつ体系的に考えることです。そのためには、考え、計画し、協力し、努力する必要があります。単に応対の仕方を書くだけではありません。これはプロセスなのです。ここでは、そのプロセスを構築するにはどうすればいいのでしょうか。誰がどのように関与しているのかを見ていきます。

こうした会話デザインの構築はチームで行います。もちろん小規模の会社は別ですが、会社の商品ラインナップやブランディング、メッセージング戦略を一人で見直すことはないでしょう。まずは、関係するステークホルダーを把握することから始めましょう。お客様に喜んでいただくためには、新しい会話の戦略を構築し、検討し、実行するための適切な人材が必要です。

基本的なプロセスを時系列で示すと、「発見」、「アイデア」、「プロトタイプ」、「修正」の4段階で構成されます。

①発見する 

ステークホルダーから要件を収集し、関連する調査を行います。このフェーズでは、カスタマーサービス担当者が顧客や他の担当者とどのように話しているかをよく知っています。このようなドメインの知識を利用して、ボットが適切な専門用語や言い回しを使用し、ユーザーに本物だと感じてもらえるようにします。

②アイデアを出す

会話の目的や、ユーザーにどのように見せたいか、どのように感じてもらいたいか、どのような体験をしてもらいたいかをまとめたドキュメントを作成します。ここではカスタマーサービス担当者やマーケティングチームに担当してもらいましょう。

③プロトタイプの作成

情報アーキテクチャ(IA)をフローチャートで作成し、ダイアログがどのように組み合わされるのか、メニューはどのようになるのか、どのような声やトーンを目指すのかを考えます。ボットが実際にユーザーに話すテキストの談話やコピーを作成し、プロトタイピングツールや環境で組み立てます。UX/デザインチームに担当してもらいましょう。彼らは企業ブランドをどのようにグラフィックで表現するか、また、ボットを幅広いエクスペリエンスの中でどこに位置づけるかを理解しています。

また、このフェーズの構築にはエンジニアリングチームの力が必要です。ほとんどのボットビルダーソフトウェアは基本的なツールを提供していますが、通常は、ボットに少しでも命を吹き込むためのエンジニアリングが必要です。例えば、音声を扱う場合は、音声の聞こえ方(ピッチ、発話速度など)をカスタマイズするためにエンジニアリングが必要になることがあります。

④修正

ユーザビリティテストの実施、ステークホルダーとのレビューによる最終承認、最終ビルドにおけるQAの実施をします。この段階ではボットが法律に違反していないか、組織が法的に問題のある状況に陥っていないかを確認します。法務担当者は、提供できないことをユーザーに約束していないかどうかを確認します(例えば、ボットが実際には提供できないかもしれないのに、「私が絶対にお世話します!」と約束していないかどうか、法的リスクがあるかどうか)。また、許可されていない情報(従業員の年齢や健康状態、学生の個人識別情報など)をユーザーに求めないようにすることも重要です。

こうしたプロセスを経て会話デザインが構築されたら、ビジネスアナリスト/データサイエンティストの出番です。ボットが稼働してしばらくすると、バグや主要な指標の落ち込みなど、注意を要するデータポイントに気づく人たちです。

ここまで、会話デザインの構築方法を見てきました。次は、会話デザインに必須な5つの要素を見てみましょう。

会話デザインの5つの基本

①説明的ではないこと

会話をデザインするときは、説明的ではなく、記述的であることが大切です。記述的とは、ユーザーが話している内容を見て、それを理解して意味を持たせようとすることです。記述的とは、ユーザーがどのように話しているかを判断し、どのように話すべきだと思うかを伝えることです。

「言語はこうあるべき」という先入観に基づいてデザインすると、ユーザーを遠ざけてしまう危険性があります。特に、ユーザーが自分の社会的アイデンティティを言語で表現している場合には、これはよく言えばユーザビリティの問題、悪く言えば公平性の問題を引き起こします。言語のバリエーションを受け入れることで、より多くの人を会話に迎え入れることができます。これが包括的なことなのです。ビジネスで言えば、より多くの潜在的な顧客を意味します。

②意図的にマークされていること

言語分析には、「マーク性」という重要な原則があります。言語学では、何かが一般的な形式から外れていたり、目立っていたりすることを「マークされている」と言います。

テキストと句読点について考えてみましょう。相手のメールにビックリマークが使われていると気になりませんか?特に、他のメッセージではビックリマークを使っていないのに、今回はビックリマークがあるので、何か違う、特別な意味があると思ってしまいます。特に英語ではテキスト中のビックリマークを距離感や怒りを意味するものと認識されやすいです。

会話の中で、目的に応じたマークを使って、さまざまなことを表現することができます。ビックリマークや絵文字のようなものは控えめに、しかし戦略的に使用しています。ユーザーが営業担当者と直接連絡を取りたいときは、その関心を称えたいので、ビックリマークをつけて「ありがとうございます!」と表現します。しかし、ユーザーが問題を報告したい場合、それはポジティブなことではないので、ビックリマークではなくピリオドを使用します。

③動詞から始める 

話題に関係なく、会話している人は、自分の発言に対して積極的に何かを求めています。チャットボットとの会話では、質問に対する答えを得ようとしたり、製品やサービスの問題を解決しようとしたりしています。人と人との日常的な会話においても、自分の意見を述べたり、相手の論理を理解したり、あるいは計画を立てたりと、会話を通じて何かをしようとしています。ユーザーが何をしようとしているのかを考えなければ、ユーザーにとってスケールの大きいトランザクションを実現することはできません。

こちらからの応対は基本的に動詞です。顧客に動詞で何かを促す形で語りかけると解決への方策がより分かりやすくなります。「~をしましたか?」「このオプションは試しましたか?」「わかったなら1を押してください」等。

④ディスコースマーカーを使う

ディスコースマーカーとは、ディスコース(話したり書いたりする内容)の異なる部分をつなげて整理し、態度を表すための単語やフレーズのことです。英語でいうと、oh、so、wellなどのあいづちに近いものです。

例えば「oh」を加えることで、ボットが確かに情報を受け取ったことを意味し、また、ユーザーが好ましくない反応をしたときの反応を和らげることができます。

⑤会話のスタイルを決める

最後に、会話をデザインする上での指針です。会話のスタイルを決めて、それを守りましょう。会話スタイルは、チャットボットが使うようにプログラムした言葉だけで表現されるものではありません。強調表現や感嘆符、さらにはボットの応答遅延の設定など、すべてがあなたの会話スタイルを決定します。

  • 増幅記号、絵文字、感嘆符が多い+応答時間が短い=関与度が高いスタイル
  • 感嘆符、絵文字、感嘆符が少ない+反応の遅れが長い=思いやりのあるスタイル

世界のさまざまな地域の人々は、異なる会話スタイルを使っています。例えば、ニューヨークの一部の地域では、話が重なっても邪魔にならないとされていますが、カリフォルニアの一部の地域では、一度に一人しか話さないことを好むスタイルがあります。ボットの応答時間を調整することで、より配慮の行き届いたスタイルにすることもできますし、ユーザーや目的に合ったスタイルにすることもできます。

優れた会話をデザインすることは、多くの点で他のユーザーエクスペリエンスのデザインと同じです。ビジョン、それを実行するための適切なステークホルダーやパートナーのチーム、そしてビジネスニーズに合った適切な会話スタイルを作成しましょう。

ただし、包括的であることを忘れないでください。人々のさまざまな話し方(タイプ)を受け入れ、できる限りそのすべてに対応した会話をデザインしましょう。新しい顧客を獲得するためにも、長年のファンとの絆を深めるためにも、すべての会話は関係構築のチャンスなのです。

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