2014年はターゲットにとって激動の一年でした。2013年のクリスマスシーズンに発生した顧客の個人情報漏洩による売上の激減、ブランドの失墜、顧客離れは、毎年成長を重ねてきたターゲットに大きな衝撃を与えました。2014年度の売上は2013年度よりも悪くなりました。当時のCEO、グレッグ・スタインハフェルは突然失脚させられ、目下、ターゲットは新しいリーダーを探しています。活気溢れるスタッフと共にかつての輝きを取戻し、業績を回復し、進化し続けるために新しい牽引役を求めています。
昔に戻るべきかどうかという議論はあるにせよ、「早い」「楽しい」「フレンドリー」を企業文化として育み、20年以上に渡って会社を率いてきたカリスマ経営者ロバート・ウルリッチ(2009年に退任)の時代を再現するのは容易なことではないでしょう。企業文化は経営トップの意向に大きく左右されます。ターゲットの文化はウルリッチによって形作られてきました。しかし、企業文化にも「停滞」という病があります。ある方法によってある程度の業績が上がっていたら、あまり改革に熱心にならず、いままでのやり方を踏襲し変えようとはしなくなります。ウルリッチが築き上げた企業文化のポジティブな側面は是非とも復活すべきでしょう。しかし、それだけでは不十分です。今後、ターゲットのCEOを担う人物には将来の成功を見据えて、企業文化を作り変える必要もあるでしょう。
では、ターゲットのように大きな問題が起こった後、組織が停滞し、進むべき方向性が曖昧になってしまった、あるいは舵を取る人が不在になり、企業文化が曖昧になってしまった場合、どのように立て直しを進めていけばいいのでしょうか。