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ベトナム人との会話のネタになる雑学③ 『ベトナム語はかつて漢字表記だった』

(ベトナムの寺院には漢字がいっぱい)

ベトナムへ旅行にいったことがある人は、一回は寺院を訪れたことがあるのではないでしょうか?ホーチミンでもいたるところに小さなお寺があり、地元の人でにぎわっています。注意してみると、ほとんどすべてのお寺に漢字が書いてあるに気づくでしょう。つまり、つい最近まではベトナムも漢字文化圏だったのです。漢字で表記することができないベトナム語独特の単語は漢字を変形させたベトナム独自の漢字「チュノム」を用いて表記していました。

今は発音記号付きのローマ字表記なのでベトナム語がわからない日本人にとって意味を探るのは難しいですが、通貨の単位ドンは漢字で書けば「銅」になりますし、ありがとうを意味する「カムオン」も漢字すれば「感恩」で日本人としては漢字にすれば意味が分かりやすくなります。

この漢字で書かれていた言葉をローマ字表記に置き換えたのは宣教師としてベトナムに渡ってきたフランス人です。儒教を重んじ中国以外の外国文化を受け入れるのに消極的だった王朝の影響からフランス植民地時代でも公式な文字は漢字となっていました。

植民地時代には多くのベトナム人がフランスからの独立を勝ち取るための闘争を続けました。民族主義者の人民が台頭してきたときには、漢字ではなくローマ字表記のベトナム語が既に広く普及しており彼らもローマ字表記のベトナム語に慣れ親しんできたため複雑で覚えるのが難しい漢字は不便で非効率なものと考えられてしまったのです。

ベトナムのある寺院。寄付をした人の名前と金額が漢字で書かれている

そして1945年に昔ながらの漢字文化を守ってきた王朝制度が崩れ、民族主義者が新しく国家の指導者となったときに29文字のローマ字表記でのベトナム語が公式の表記として採用されることになり、ベトナムでの漢字文化は王朝政治の終焉とともに幕を閉じてしまうのです。

フランスからの独立を目指したベトナム民族主義者がフランス人の考えだした文字表記を国家公認のものにしたというのは皮肉な話ですが発音どおりに表記すればよい今のベトナム語表記は非常に便利です。反対に日本人からすると見た目で意味を理解するのはほぼ不可能なので、とっつきにくい言語に見えます。

ちなみにベトナム共和党の識字運動はローマ字表記が公式の表記になった後の政策ですが、ベトナム戦争中から継続的に行われ表記の単純さも手伝って極貧に苦しんでいた経済開放前のベトナムでも90%以上の高い識字率を誇る成果をあげました。しかし最近は「教育の社会化」の名のもとに国家が教育の全面支援から手を引き学校が金儲けの場となりつつある中で、貧困層が学校に通えなくなりかえって経済発展した今の方が識字率の低下を招いているという事態も起きています。

日本に来るためにも質の高い教育を受けるためにはお金を払わなければいけません。日本に来ているベトナム人はみな良い意味でハングリー精神が旺盛なのはこうした背景があるからなのです。

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