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過去との物価比較:65年前と比べて下がったもの、上がったもの、あまり変わらなかったもの

物価の過去比較

日本の物価は40年近くあまり変わっていない

日本はなかなかデフレから脱却できないと言われて久しい。 総務省統計局のホームページには1970年からの消費者物価指数のデータが蓄積されている。実際に消費者物価指数を1970年からさかのぼって見てみると1974年の第1次石油ショックで対前年度比20.9%の消費者物価指数の上昇を記録したのを頂点に、そこからどんどん消費者物価指数が下降。 1983年以降の物価上昇率は高くても2.5%程度におさまっている。 今世紀に入ってからは一時期を除いて0%あるいはマイナスの上昇率だ。 実に20年以上ほぼ物価が変わってないということだ。 1983年から数えると実に40年近く物価がほとんど変わっていないということになる。

消費者物価指数の前年度比伸び率
消費者物価指数の前年度比伸び率 (出所)総務省「消費者物価指数」より作成

 消費者物価指数には3つの物差しがあり、「総合」と、生鮮食品を除いた「コア指数」と、(酒類を除く)食料及びエネルギーを除く総合の「コアコア指数」がある。それぞれの数字は微妙に異なっているが、日銀が目標にしている毎年2%の物価上昇率というのはここ20年どの指数でもほとんど達成できてないことになる。 

なぜ2%の上昇が必要なのか

消費者にとっては物価が変わらない、あるいはマイナスになった方が物が安く買えるので嬉しいことだが、経済が成長していないことを意味する。そのため物価が安定的に上昇している2%程度が望ましいのではないかと言うのが日銀の言い分だ。 確かに物価が下がっていると企業の収益も落ち込みまともな給料が払えなくなる。 まともな給料がないとまともな価格で物を買う人が少なくなる。 そうすると買う人がいないのでさらに物価が下がるという悪循環に陥ってしまう。 急激な上昇は良くないが一定程度平均的に上昇するのは健全な経済活動が行われている証左であると言えるだろう。 

すでに日本は物価の高い国ではなくなってしまった 

ビックマック指数
ビックマック指数日本は31位

そうした物価がほとんど上がっていない状態が20年以上続いたおかげで、 かつて日本は物価の高い国と言われていたがすでにビッグマック指数を見ると同じアジアでは韓国はおろかタイにも抜かれている。 当然ながら西洋諸国には軒並み抜かれている。 現在31位に位置しているが 33位に位置する中国にそのうち抜かされることになるだろう。 

物価を65年前と比較すると面白いものが見えてくる 

この記事の冒頭で物価は40年ほどあまり変わっていないと述べたが、もう少し遡って65年前と比べてみたらどうだろうか。ちょうど現在 65歳で定年を迎えた人が生まれた時の物価だ。 面白いことに、ほとんどの商品やサービスは上昇しているが中にはほとんど変わらないもの、また逆に下がっているものがある。ちなみに1956年当時の国家公務員の初任給は9200円です。これは基本給で諸手当等は含まない。 

物価が上がっている商品やサービス

ほとんどのものが65年前と現在と比べると何倍にも上がっているが、 ものすごく上がってるものとあまり上がってないものがある。 具体的に見てみよう。これらのデータは、 藤子不二雄 『トキワ荘青春日記』 光文社1981年発行などをもとにしている。 

<劇的に上がったもののリスト>

(左が1956年の値段、右が2021年の値段)※あくまでも標準的な価格

  • 銭湯 15円 → 480円(東京の銭湯料金)
  • 床屋散髪 100円 → 3500円(通常の理髪店)
  • 東京新聞 7円 → 120円(朝刊)
  • 週刊朝日 30円 → 440円
  • 西武池袋線(椎名町駅から池袋駅)10円 → 150円
  • はがき 5円 → 63円

<ある程度上がったもの>

  • クリームドーナツ 30円 → 120円
  • キャラメル1箱 20円 → 110円
  • ホットコーヒー(喫茶店)50円 → 400円
  • カップアイス 20円 → 120円
  • 牛乳(一瓶)14円 → 80円(紙パック)
  • 地下鉄丸の内線(池袋駅から東京駅)20円 → 170円
  • 映画のチケット 150円 → 1800円

銭湯は実に32倍も料金が上がった。 これはひとえに銭湯を利用するお客さんが減ったからだろう。 もちろん燃料費も上がったということもあるかもしれないが、最近は間伐材を使ったり、 天然ガスを使って燃費を抑えているところがある。 やはりなんといっても利用者が少なくなって人件費を賄うにはそれなりの料金を取らないといけないということだろう。 床屋や新聞なども取材などで人件費がどうしてもかさむ。 こうした労働集約型なサービスは大分上がっているようだ。

クリームドーナツ
クリームドーナツ

上がってはいるがそれほど上がってないものとして、 クリームドーナツなどがある。ミスタードーナツなどでは大体130円で売っている。 またコンビニで買ってもだいたい同じような値段だろう。 その他キャラメルやカップアイスなどもそんなに上がっていない。 映画のチケットも最近では夜間料金やメンバーズカードなどを作れば1200円程度で観賞することも可能だ。 ビデオデッキやDVD の普及、サブスクで映画見放題のようなサービスも出てきたことから 本来であればもっと値上げしたいところだが値上げしづらいというところが本音ではないか。 また菓子類がそれほど上がってないのはもともと65年前はそうした甘いものは高価なものだったのだろう。 それが段々と大量に生産されるなかで価格が落ち着いて65年経った今でも原材料の値上げ程度の上昇率で済んでいるのかもしれない。

次にほとんど変わっていない物やサービスを見てみよう。

電球の値段はほとんど変わらず
電球の値段はほとんど変わらず

ほとんど料金、価格が変わっていないもの

(左が1956年の値段、右が2021年の値段)※あくまでも標準的な価格です

  • 電球 60円 → 80円(もっと安い場合もある)
  • 公衆電話 10円 → 10円
  • 卵1個 15円 → 15円(もっと安い場合もある)

いわゆる裸電球の電球が65年前と価格がほとんど変わっていないというのは意外だった。 おそらく電気が各家庭に普及し、電球が大量に作られる中で価格を上げないでも利益が出るようになったのだろう。 公衆電話に関しては、10円でどれぐらい話せるかその辺のデータはないのだが、昔も今も10円からかけられるのは変わらない。卵もほとんど変わらないかもしかしたら今の方が安いかもしれない。この辺の事情はよくわからないのだが、どなたかお分かりになる方はご教示いただきたい。

値段が逆に下がっているもの

  • LPレコード 2100円 → CDアルバム 1500円

最近 CD を買う人は少なくなったと思う。 逆に DVDや豪華なジャケットと一緒に売られたりしているので、単体で音楽 CD の値段を算出するのは難しかったが、大体これくらいの値段で売られている場合が多いのではないか。もちろん LP レコードと CD アルバムを比較すること自体が間違っているかもしれない。 ただ音楽を楽しもうと思ったら当時はレコードを買うしかなかった。 今では CD を買うことはおろか、 サブスクで無数の音楽を聞けるし、 YouTube で聞けば基本的にはタダだ。 

また65年前にはカラーテレビは存在していなかったが、様々な電化製品は今と比べてだいぶ高かったと思う。手元にデータはないがアイロンや洗濯機は今よりも高価だっただろう。 

今後どのような商品やサービスの料金や価格が上がっていくか?

日本はデフレが長い間続いているが65年前と比べるとだいぶ物価が上がっている。当たり前と言えばそうであるが、 商品によってばらつきがあるのが面白い。 この中でこれからも上がっていくものはどんなものだろうか? 当然燃料費がかかるようなものは上げざるを得ないだろう。だが日本の給料がなかなか上がらない中で、 労働集約型のサービスも料金をを上げることが難しい。 やはり付加価値をつけた商品やサービスを提供することや、全く新しい商品やサービスを開発して提供することでしか、物価上昇を望むことはできないのだろうか。

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