③危機に瀕しているフィリピンの世界遺産

(写真はビガン歴史地区)

フィリピンには5つの世界遺産があります。 自然遺産はフィリピンの美しい自然を象徴する2つの場所で、面積約3万3200haを誇り、40種類前後の珊瑚と376種類ものさまざまな 海洋生物がすむトゥバタハリーフ国立海洋公園、パラワンヤマアラシ、ジュゴンなどの希少動物が生息するパラワン島プエルト・ブ リンセサ地底川国立公園です。前者は1993年に、後者は1999年にそれぞれ登録されました。

一方、文化遺産はフィリピンの歴史や風土を如実に物語っています。 1999年に登録されたビガンの歴史的な街は16世紀のスペイン統治時代の街並みが良好な形で残されています。 現在残るのはおもに当時財をなした中国人商人の家々ですが、外観はスペイン風、家の構造や内部装飾は中国やフィリピンの様式が取り入れられた独特の造りが特徴です。 ビガンは第二次世界大戦の戦火を免れたため、アジアでも植民地時代のもよく残す街として知られています。

そして、マニラにあるイントラムロスのサン・アグスティン教会など4つの教会は1993年に世界遺産に登録されました。 いずれもスペイン人のキリ スト教布教を目的に建てた聖堂で、バ ロック様式を基礎としつつも、フィリピ ン独特の特徴を備えています。 敵国からの攻撃以外にも、自然災害に備えてきわめて頑丈に作られました。 装飾には南国ならではのモチーフが施されています。

コルディリェーラ の棚田
コルディリェーラ の棚田

もう一つが、フィリピンの山岳民族の文化を象徴するようなコルディリェーラ の棚田です。 ルソン島北部に約300㎞ にわたってつながるコルディリェーラ山脈にはいくつもの棚田が存在します。 その中でもイフガオ州に暮らす山岳民族イフガオ族は、はるか2000年以上も前から棚田を耕してきました。田が山の高みへと幾層にも積み上げらた光景は「天国への階段」ともよばれるほどで、狭いところでは2 ~3mの狭い場所を水田として耕し、先祖代々受け継がれてきた農作方法に従い、現在でも作業のほとんどが手作業で行われています。

しかしながら、近代化の波がこの山間にも押し寄せ、 後継者不足の問題や自給自足の生活が姿を消しつつあり、2001年には「危機にさらされている遺産」に登録されました。現在、NPOなどによるイフガオ族の文化の維持・保存、棚田を守る運動が展開されています。

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