②仏教はインド発祥ではなかった?
インドと言えばまず仏教を思い浮かべる日本人が多いのではないでしょうか。 インド旅行でも、仏教の聖地巡りを楽しみにしている人もいるかもしれません。確かにインドは仏教発祥の地であり、 仏教が大いに栄えた時期もありました。しかしインドでは仏教は5世紀ごろから衰退 し、10世紀以降はほとんど忘れられた存在になっていました。
さて仏教には「八大聖地」あるいは「四大聖地」と呼ばれる場所があります。 それらは釈尊が生誕してから涅槃に至るまで、 仏教的に重要な出来事が起こった場所です。 四大聖地(Google Mapはこちら)は、「生誕の地ルンビニー」、「悟りを開いたブッダガヤ」、 「初めて説法をしたサールナー ト」、そして「涅槃の地であるクシーナガル」です。八大聖地はそれに、布教の地のラージギール、 教団が置かれたサベート・マヘート、 昇天の地サンカーシャ、 最後の旅の地ヴァイシャリが加わったものです。
釈尊は紀元前5世紀ごろに、現在のネパールにある釈迦族の中心地カピラヴァストゥの城主の息子ゴータマ・シッダッタとして生まれました。 生まれた場所はルンピニーの園で、マーヤ夫人がお産のために里帰りしている途中だったといいます。 成長したシッダッタは20歳の時に城を出て、厳しい修行に挑みます。しかし、悟りを開いたのは苦行ではなく瞑想によってでし た。
ブッダガヤの地においてブッダ(悟りを開いた人の意味)となった釈尊は、バナーラス近郊のサールナート (鹿野苑)にて最初の説法を行います。 やがて弟子たちも増えブッダは布教活動を始めますが、その中心になったのが当時の二大国であるマガダ国の都ラージギール (ラージャガハ)とコーサラ国の都のマヘート(サーヴァッティ) でした。 ラージギールは王舎城とも呼ばれ、竹林精舎があった場所です。 マベートは舎衛城とも呼ばれ、郊外にあるサヘート (祇園精舎)と共に仏教の聖地になっています。
サンカーシャはブッダが天上界にいる 母の摩耶夫人に説法を行い、また地上に戻ったといわれる場所です。 やがて高齢になったブッダはヴァイシャリを出て、愛弟子アーナンダーとふたりで最後の旅につきます。 その入滅の地がクシーナガルです。
八大聖地のほとんどが、インド北部のガンジス川に沿った地域にあり、ネパールにあるのは 生誕の地ルンビニーだけです。 もっともルンビニーはインド国境に近いので、インドからのアクセスも簡単です。