外国人社員のための “報連相”(4)直属の上司のさらに上からの直接的な指示をどのように処理すべきか 1月 13, 2020 最終更新日時 : 10月 16, 2021 Ryoji Shimada CONTENTS(4) 直属の上司のさらに上からの直接的な指示をどのように処理すべきか<第1原則:直ちに「バイパス命令」を上司に報告すること><第2原則:指示者への直接報告><日本の組織は柔軟> (4) 直属の上司のさらに上からの直接的な指示をどのように処理すべきか Q: 私の課長は昨日出張中でした。彼が不在の間、私は本社の責任者から直接指示を受けました。専務からの指示だったので、通常の仕事をいったんやめてその指示を優先しました。その晩に課長に報告したら、彼はとても怒っていました。専務には課長を通すように話したほうがよかったでしょうか? A: 基本的にさらに上の上司からの指示については必ず上司に報告しましょう。 課長との会話のやり取りを振り返ってみましょう。「昨日、課長が留守の間に、専務が来て指示しました」「Yさんはなぜ今それを私に話すのですか?」「ごめんなさい。しかし、あなたは出張中だったので」「それで、何をしましたか?」「専務からの指示なので、すぐに通常の仕事をやめて対応しました」(沈黙)「なるほど」 専務から指示を受けたら、課長にまず話すようにお願いすることはできません。専務から直接指示があってももちろん問題はありません。Yさんがすぐに課長に報告しなかったのが良くなかったのです。課長が出張中、あるいは忙しそうに見えても、基本的に報告を先延ばししてはいけません。したがって、次の2つの原則に留意しましょう。 <第1原則:直ちに「バイパス命令」を上司に報告すること> 直属の上司が不在などの場合に、さらに上の上司あるいは別の部署の上司から指示を受けることがあります。そのような場合、指示を受けた旨を速やかに直属上司に報告してください。これが第1原則です。更に上の上司からどのような指示を受けたかは、直属の上司にとってとても重要な情報なのです。 次に、直属の上司にその指示されたタスクの進捗状況を報告します。そのタスクが完了しているか、途中かまだ始めていないかを報告する必要があります。これは、直属の上司がこれに関して何らかの判断や指示をすることができるからです。 <第2原則:指示者への直接報告> 直属の上司と指示をした専務に最終報告をします。大企業では、専務に直接報告することは難しいかもしれません。その場合は、専務の秘書を通じて報告しますが、その前に直属の上司に報告をチェックしてもらった方がいいです。「指示者への直接報告」が第2の原則です。 例外として、直属の上司が代理で専務に報告すると言われた場合は、その上司に任せてもかまいません。直属の上司に報告しているので、必要であれば彼(あるいは彼女)が専務に報告すると考える人もいますが、これは間違っています。指示した人に最終的に報告が届くようにしなければいけません。 <日本の組織は柔軟> 組織の原則が「直属の一人の上司」である欧米の企業では、「指示を受けて報告する相手は1人だけ」の場合が多いでしょう。バイパスされた指示やバイパスされたレポートは非常にまれです。日本でも、自衛隊や政府の出先機関では、そのようなバイパスはおそらくないでしょう。 一般的に日本では、一対一の優位性を持ちながら、柔軟で臨機応変に対応できる企業が多い傾向にあります。「バイパス」が可能な企業で働く外国人従業員は上記の第1、第2の原則を覚えておくべきでしょう。 上司が部署外からの指示を知らされていないと、組織での責任を果たすことができません。部下の立場にある人はこれを理解すべきです。上司の立場にある人は、どんなことでもきちんと報告してくれる、思いやりのある部下を持つことが大切です。部下と日々情報や自分の考えを共有し、どのような報告が欲しいかを暗黙的・明示的に伝えていれば、部下は期待に応えてくれるでしょう。 その他の『外国人社員のための“報連相”』記事 弊社の外国語による外国人社員研修について