外国人社員のための “報連相”(9)指示するときに目的も伝える 2月 18, 2020 最終更新日時 : 11月 25, 2021 Ryoji Shimada CONTENTS外国人社員のための “報連相”(9)指示するときに目的も伝えるA:目標は目的を達成するための手段です(ケース1) カルテを急いで!(ケース2) 8月28日の意味 外国人社員のための “報連相”(9)指示するときに目的も伝える 部下に「この書類を10部コピーしてください」と頼むのと「この書類を明日の会議で使うので10部コピーしてください」と背景まで伝えてお願いするのとどちらがいいでしょうか? Q:新人研修では、説明を受ける際にメモを取ることや、指示内容を正確に把握することを教えてもらいました。また、明確な目標を認識するように言われました。これはとても重要だと思いました。しかし、ある部署に配属された後、その部署の先輩から、仕事で一番大切なのは目的だと言われました。明確な目的がなければ良い仕事はできないと彼は忠告しました。これをどう解釈すればいいですか? A:目標は目的を達成するための手段です あなたにはいい先輩がいますね。仕事で大切なのは、仕事をする目的を明確にすることです。目標は「日付のある到着地点」です。目標は目的の過程であり通過点です。目標の意味を明確にする上で重要な要素は目的です。「目標は目的を達成するための手段である」という有名なことわざがあります。 明確な目標を持つべきなのは言うまでもありません。しかしそれだけではなく、明確な目的を持たなければなりません。そうでなければ良い判断もできません。目的がわかればそれを考慮して自律的に判断することができます。ですから、日頃から目的やその背景(ミッション)を把握して、自分のやっていることすべての状況を把握しておきましょう。 しかし、上司や依頼人が目的を説明してくれないのも現実です。ですから、上司の考え方を把握し、状況を把握して目的を推測する努力をしなければなりません。どうしてもわからないときは、目的を上司に明確にしてもらいましょう。 管理職にお願いしたいのは、部下に重要な仕事を指示するときに、目標だけでなく、目的、背景、全体の状況を正しく(あなたの部下がどれだけ理解しているかによって)伝えることです。以下のケースを見てください。 (ケース1) カルテを急いで! たくさんの科がある大きな病院での出来事です。毎朝、受付スタッフがカルテを各診療科に持っていきます。どの科にも同じようにカルテを持っていっても、急ぐのは内科だけです。もし遅れたら、婦長に叱られてしまいます。 ある日、受付のミスでカルテの受け渡しが遅れました。受付スタッフが婦長に謝りに行ったところ、慌てた理由がよくわかりました。婦長は「当科には糖尿病の患者さんがたくさんいます。これらの患者は朝食をとらずに診察に来ます。少し遅れると、患者さんがイライラしてしまうのですね。ですから、患者さんのためにも早くカルテを持ってきてください」と言いました。受付のスタッフは急がされる理由を知ることができたので、次回からはもっと気を付けるにしました。 これは目的や背景の意味を共有する良い機会になったのです。内科は受付の人に前もって目的を共有するために説明してくれればよかったですね。 (ケース2) 8月28日の意味 広島県の食品会社の技術研究委員会に、報連相についてのセミナーを依頼されたことがあります。CEO、技術部長、技術者など多くの人が出席しました。セミナーで私は「1977年8月28日です」と言いましたが、会場の反応はありませんでした。次に私は「1984年8月28日です」と言ったとき、かなり反響がありました。隣に座っている人にうなずいた人もいました。 実は「1984年8月28日」はその会社が設立された日だったのです。社外にとっては何の意味もありませんが、社員にとっては大切な日です。一方、「1977年8月28日」は私の誕生日です。これは会社のスタッフには意味がありませんが、私にとっては重要です。この事例からわかることは、「数値」という事実だけではなんの意味もないということです。 つまり効率的に目標管理を行うにしても、いきなり数値目標の話をするのではなく、まずは全体の状況と目的を十分に議論して「情報を共有する」ことが必要なのです。この手順を省略すると、社員の士気が上がらないばかりか、目標を達成をできない可能性が高くなります。 その他の『外国人社員のための“報連相”』記事 弊社の外国語による外国人社員研修について