ジョーダン・ベルフォートの営業術:セールスの神様の教え(1)

皆さんハリウッド映画の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を見たことありますか?2013年に映画化されました。実在の人物、ジョーダン・ベルフォート(Jordan Belfort)をハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオが演じています。 その映画を見た人であればお分かりですが、彼はカリスマ的なセールスの技術(営業術)を持っていて自分が設立した証券会社が飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しました。 急成長を遂げた会社の社長として「ウォールストリートの狼」と揶揄されるようになったのです。それが映画のタイトルになりました。ただその強引な手法から法に触れることになり、結局数年間の刑務所送りになってしまいます 。映画は彼が刑務所から出てモチベーションスピーカーとして第一歩を踏み出すところで終わっています。現在、彼は自分のスタジオを持ち Podcast や YouTube に自分のメッセージを配信したり、著名人とのインタビューを載せたりして、国内外で講演活動を行っています。

2021年2月のモルジブ講演のPR
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ただコロナウイルスの影響で2020年からはなかなか講演活動が出来ませんでした。しかし、その年の12月にトルコで海外公演を行いました。 それをプロデュースした人が私の友人だったので彼の講演を聞くことができました。2021年2月にはモルジブで講演を行いました。 改めて彼の講演を聞いて感心した事があったので皆さんにシェアしたいと思い、ここに3回シリーズで彼の話の内容をまとめてみたいと思います。 「セールスの神様」や「営業の神様」と言われるだけあり彼の話し方のうまさが際立っていましたが、十分に活字でお伝えできないのが残念です。 ただ彼の営業術は素晴らしいので是非ご一読ください。

ネガティブになったら何も成功しない

皆さん、世の中には人前で話すのが怖いという人がいますが、私は逆に人前で話せないのが怖いです。 私をステージから降ろすためには警備員に頼んでクレーンでも使わなければいけないでしょう(笑)

今夜、私はあなたが本当に望み通りの人生を生きていけるように全力で手助けします。 一度想像してみましょう、素晴らしい人生を歩んでいる自分の姿を。 まずは1年後の自分を想像してください。そのイメージを頭の中に描いて、それを心の底から愛し、自分の心の目の中でそれを大きくします。さあ背筋を伸ばして立ち上がりましょう。両手の拳を握って、そして深呼吸をして自分を信じてください。 

とにかくポジティブにならなければいけません。ネガティブになると何事もうまくいきません。 私は仲介してお客さんに株を販売する時、ネガティブになると必ず売れないことがわかりました。私は毎朝起きると YES! YES! YES! と叫んで立ち上がります。 

田舎のゴロツキやヤンキーをトップセールスマンにする方法

私は大きな証券会社で働いていましたが、ブラックマンデーを機に倒産してしまいました。同時に職を失い、地元の未上場のペニー株(未上場の店頭株)を扱う証券会社に職を得ました。給料は歩合制です、私は電話セールスがとてもうまかったので、ちょっとした財産を作り上げることができました。

そんな時、近所に住むダニーと言う男性と知り合い意気投合しました。そこで自分たちの小さな証券会社を設立します。そんな小さな会社に優秀な人材が来る理由がありません。集まってくるのはアイビーリーグの卒業証書もなく、間違っても精子クラブに精子を提供できるような人ではありません(笑)。彼らは例えばロングアイランドやニューヨーク市の下層中流階級の息子や娘たちでした。彼らは自分たちの両親から人間の内なる可能性を掘り起こすような教育も受けてきませんでした。どのようにしたらこの世界を生き抜いていけるか、世の中を渡るためにサバイバルできるか、そういうことだけを教えられてきました。自分の可能性を花開かせて繁栄、発展するということを教えられずにいたのです。全ての人間があらゆる可能性を持って生まれてきているのに…。 

顧客のターゲットを中産階級から富裕層に

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のプリビュー

私たちの小さな会社は下町にあるような平均的な家庭のお父さんやお母さんにペニー株を売っていました。 いわゆるドアツードアで、つまり電話帳を片っ端から調べて直接家にセールスの電話をかけるのです。 セールスはそこそこうまくいっていましたが、ある時全てを変える新しいアイデアを思いついたのです。この株をお金持ちに売ることができたらどうなるだろうか。私はダニーとそのアイデアを相談し実践してみました。すると20万ドルの株を売りさばき、3分で7万ドル稼ぐことができました! 私は12名の社員に向かって「これから世界一の金持ちになる!」と宣言たのです(笑)。

私の成約率は大体半分の50%くらいで、ダニーの成約率は30%でした。 しかし残り12名の社員の中には4週間経っても一度も売れない人がいました。私とダニーはとんでもなくセールスの結果が良かったのに、ほとんど他の社員は成果をあげることができませんでした。彼らの中にはもうやめて平均的なお父さんお母さんにペニー株を売るビジネスモデルに戻ろうと言う人もいました。

私はその提案にとても怒りました。なぜ同じ顧客リストに電話をかけているのに、また同じ銘柄を販売しているのに、こんなにも成果が違うのか!そこで就業時間のあと夜にトレーニングをしました。

彼らが言うには電話をかけても一方的に切られてしまうなど否定的な意見が多くすべてネガティブなものばかりでした。 こんなケースがある、あんなケースがあると言った事例が無数にあると。そこで本当に無数にあるのか具体的に挙げるようにお願いしました。

できるセールスマンとできないセールスマンの違いはどこにあるのか?

「なんでもいいからそのセールスの障害になっている出来事を全て教えてくれ。そしたら私は一つ一つをその解決方法を教えてあげるよ!」と言って彼らに話をさせました。 初めは黙っていましたが一人の男性社員が、「お客さんは、"検討させてくれ"って言う」。私はそうか「考えさせて欲しい」ということだなとホワイトボードに書きました。 ある女性社員は「"また、こちらからかけ直します"と言われる」 。他にも「自分の妻に相談させて欲しい」「ビジネスパートナーと相談してみる」 「クリスマスシーズンで時期が悪い」「初対面で話しづらい」等… 。ある男性社員は反対事例が1000ぐらいあるというが、結局彼は7つしか事例を挙げることができませんでした。

結局集まった反対事例を整理してみると12個しかなかったんです。しかもそのうち半分は他とあまり変わらない内容のものでした。 クリスマスの時期だから、グラウンドホッグの日だから、うるう年だから。。。私は内側からメラメラと怒りがこみ上げてきました。 

セールスは一直線である

私はセールスの本など読んだことはありませんが、その時にあるひらめきがありました。 今でも魔法の言葉です。私はホワイトボードの真ん中に長細い線を引きました。直線です。 はじめ12名の社員はポカンと口を開けていました。しかし、私の説明を聞いて実践すると今まで1か月もの間一本の契約もあげることができなかった社員が翌日にはとてつもない営業成績をあげ始めることになったのです。

そこから会社は急成長しました。私も野生化してしまいました。本当にブレークしてしまった。 私は貧しい家庭で育ちましたが、若くてもわずかな倫理観をもっていました。しかしお金があまりなかったことから、急にたくさんのお金があっという間に入ってきて自分の倫理観が崩壊してしまいました。 麻薬にも手を染めました。今でもたまに点滴を受けています。もちろんいまは薬から手を洗いましたし、逆に2人の麻薬常習者にカウンセリングをしている立場です。ドラッグは本当に恐ろしいものです。

ジョーダン・ベルフォートのセールスマンとしての軌跡

私はセールスマンとしてデビューしたのは8歳の時です。各戸に新聞の契約を売りに歩いていたのです。まず大学生の年上の先輩から指示を受けて、一軒一軒営業ルートをくまなく歩きました 。そこで新聞を持ってない家庭のリストを作りました。これは完璧な情報源だと思いました。 そして新聞を購読していない家庭に売り込みに行ったのです。しかし結果は惨憺(さんたん)たるものでした。一週間かかっても一件も契約が取れなかったのです。家に行っても留守だったり、在宅していても「新聞はいらない」と言われたり。。。私は泣きそうになりました。 私の両親もセールスに対して理解がある人種ではありません。 セールスマンと聞くととても嫌悪感を抱く人達です。 私は誰に相談していいかわかりませんでした。

新聞を売るなら「新聞を購読している人」へ売り込む

すると私の友人の父親がマーケティングの仕事をしていることを知り、話を聞きにいきました。 私の事情を一から十まで全て話しました。その父親は聞きながら笑い出しました。私は何がそんなにおかしいのかわからなかったのですが、「君は間違ったところに営業にいってる」というのです。「いいかい、世の中には2種類の人種がいる。一方は新聞を毎朝自宅に届けて欲しい人種。もう一方は自宅に届けなくてもいいと思っている人種だ」。

私は全く逆のことをしていたのです。つまりまだ新聞を購読してないということはこれから新聞を購読する可能性があると思っていたのです。 その父親は続けていいます、「今まで何人の新聞配達の営業がその新聞を購読しない人種に対してアプローチしてきたと思う?もう結果はわかってるんだ。明日から郵便受けをチェックしてニューヨークタイムズなど新聞を購読している家庭をリストアップしてそこを営業訪問するようにしなさい」

私はその友人の父親が言った通りのことをやりました。すでに新聞を購読しているお宅に他の新聞を売り込みに行ったのです。私の結果は7割の成約率でした。私が本当にセールスが得意だったんです。 私は地元で一番の金持ちキッズになりました。勉強そっちのけで宿題もろくにやらずにいたところ、さすがに母親が介入してきました。9歳の時には、その稼業から手を洗い自分の持っている営業ルートを隣人に売りました。

またアルゴア副大統領が環境問題をでっちあげる前は、よく雪かきのスコップを売っていました(笑)。 冬になると私が住んでいるニューヨーク州ではよく30CMぐらいの雪が降りました。私はそのスコップを3ドルで仕入れて富裕層が住んでいる地域に行って20ドルで売ってました。そのうち雪がそれほど降らなくなりましたが…。

ビーチでのアイスクリーム販売での経験

雪かき用のスコップの後はマジックです。当時デビットカッパーフィールドが自由の女神を消すと言って大変話題になっていました。 私は「彼は美女をたくさん抱えてるだろうな」と思い、私も彼のようになりたいと強く思いました。私はマジックができるという嘘の広告を出してみました。たった1ドルの広告でしたが要はモテてみたかったのです。そんな小さな広告に誰も問い合わせをする人はいないとたかをくくっていたら広告を出した翌日から電話がひっきりなしになり始めました。「どうしよう私はマジシャンでも何でもなくマジックなどとてもできないのに…」。 心配していた私を見て父親はニューヨークにあるマジックショップに連れて行きました。そこでマジックのグッズを購入し人前で披露する機会を得たのです。私は、そこそこ有名になり子供向けのパーティーから60歳以上の高齢者が集う催しに呼ばれ自分のマジックを披露しそこそこの収入を得ることができました。「ビジネスはタイミングが重要」だと学びました。 

また夏の暑い日のことです。ニューヨークにはジョーンズビーチという公共の砂浜があります。 そこにはたくさんの人が水着姿で砂地にブランケットを敷いて寝そべっています。遠くの方に売店がありますがそこには長い列ができています。私はそこを友人と歩いている時に「ここでアイスクリームを販売したらどうだろうか?」とアイデアを思いつきました。私は早速イエローページをめくって近くのアイスクリーム卸の業者を探しました。 見つかった業者はイタリアのアイスクリームを扱っていて私はそこで様々なフレーバーのアイスを購入し、7ドルで購入した発泡スチロールのクーラーボックスにそのアイスクリームを詰め、上にドライアイスをのせました。これで準備完了です。私はジョーンズビーチで最初の1時間で200ドル稼ぎました。仕入れ値を引いても利益は120ドルです。当時の最低賃金が95セントでした。実に最低賃金の120倍もの利益を得たのです。 私は翌日さらに4個のクーラーボックスを購入してそれぞれにアイスクリームを敷き詰め販売しました。そして、見事全て売り切ったのです。

さて、私は友人をとても大切にして友人が全てだと思っています。そこでさらに友人にも声をかけました。「こんな簡単にお金が手に入る仕事はないよ!女の子もたくさんいるし、音楽がかかっていて楽しいし、日焼けもできれば、運動にもなる!」と4人の友人を誘いました。しかし不思議なことに私ともう一人の男性以外はクーラーボックス1個分しか売れなかったのです。私は順調に4、5箱売ることができていました。 その違いは何だったのでしょう。 

成功に繋がる4つの内面状態

私はお金を稼ぎたかったのです。自分のお金で大学に行きたかったし、自分のお金で車を手に入れたいと思っていました。 私はその時はまだ若く友人に自分の教えを説くことは出来ませんでした。物事には両面があります。内側と外側、右と左、陰と陽、 上と下、表と裏などです。さて人間にも内面と外面があり内面の世界をまず自分が管理できる状態に置く必要があります。行動起こす前にまず内面の変化が必要です。つまり内面を自分が管理できる状態にないと成功することはできないのです。管理できる状態になった上で、成功に繋がる4つの特定の状態を作り出します 。

① 権限を与えられている状態

その4つの1つ目は「権限を与えられている状態」です。それは英語で4つのCに表すことができます。 "Certain" "Clarity" "Courage" "Confidence" (明確で明快で勇気があり自信があること)。 

② 自ら信じる心

2つ目は「自ら信じる心です」。あなたにはどんな信念がありますか? 世界で何が良いのか、何が正しいのか、何が健全なのか、あるいはそうでないのか。私たちはそうした自らの信念に基づいて行動します。

この権限を与えられてる状態で自らが信じる心が強ければ強いほど成功も大きくなります。 この信じる心が弱い場合どうなるでしょうか。良い例えが車のフェラーリです。そこにはパワフルなエンジンが積んでいますがガソリンを供給するバルブが詰まっていたらどんなにエンジンをふかしても進みません。ただそのバブルが最大限に開いていると300キロを超えるスピードが出るのです。そうしたバルブを調整する物が、必要な時に働かず不要な時に働いてしまうのです。

信じる心を制限する障害が見つかったらそれを一つ一つ取り除くのです。ネガティブな要素があればそれを取り除くのです。 

③ ビジョンフォーカス

3つ目は「ビジョンフォーカス」というものです。 自分の将来のビジョンを思い描くのです。 ここで重要なことをお話しします。人々はあなたのゴールに魅了されるのではなく、あなたの「ビジョン」に魅了されるのです。人々はビジョンに飢えているのです。ビジョンがない人はビジョンを持ってる人に惹かれるのです。 

つまるところ、あなたは自分の人生の中でビジョナリー(ビジョンを持った人)にならなければいけません。ゴールはビジョンに向かうための通過点です。 つまりビジョンにきちんと向かってるかどうかの道しるべがゴールなのです。 ビジョンはあなたと感情的につながっているものです。 

またここで重要なのはこのビジョンにどれだけフォーカスしているか。 レーザービームのようにそのビジョンにきちんと照準を当てなければいけません。フォーカスの反対は恐れです。 人間の特性としてまず先に恐れに気持ちを持ってかれます。 あるいは良いことよりも悪いことを想像しがちです。

ただし、レーザービームといいましたが、視野が狭まってはいけません。一方の目でビジョンにフォーカスしもう一方の目は常に他のチャンスのために地平線をスキャンするような事をします。両目でビジョンにフォーカスしてはいけません。

つまるところ、ビジョンに到達したとしても、当初自分が思っていたやり方や方法とは違ったはずです。これは私が保証します。約束します。ビジョンに到達したとしても、結局は予想していたやり方ではない全く違うやり方で成し遂げることになるのです。つまり「目標は変わらなくても目的は無限にある」わけです。

ジョーダン・ベルフォート:セールスの神様の教え(パート2に続く)


ジョーダン・ベルフォート講演会(2024年4月予定)

セールスの神様と呼ばれるジョーダン・ベルフォートの営業術を生で体験してみませんか?2024年の春ごろジョーダン・ベルフォートを日本へ招待し、セミナー・講演会を企画しています。直接本人から話を聞ける貴重な機会です。映像や写真では伝わらない熱量を肌で感じてみてください。また、営業活動に悩んでいる方に直接コンサルし、アドバイスをしていただくことも予定しています。

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