職場で使えるベトナム雑学⑥:「ベトナムでは虫の体液を調味料として使う」
日本にもイナゴや蜂の子を食べたりする習慣がありますが、 ベトナムにはもっと大きな虫を食べる習慣があります。 日本語ではタイワンタガメと呼ばれる虫です。 今では与那国島しか見られない、日本では絶滅を危惧されている虫のようです。
一見すると日本の家屋に住み着くゴキブリを連想させますが、田畑の水辺に住む生き物です。ただし、ゴキブリと同様、飛ぶことは少ないようです。ベトナムではカークォンと呼ばれる虫ですが、古くからベトナムではそれを蒸し焼きにしたり揚げたり焼いたりして食していました。 その昔中国の王朝にも献上したことがあり、 その虫の体液がシナモンの香りに近いことから、 シナモンの木の周りに住む虫と紹介されたこともあります。
カークォンは主にハノイ地方の郷土料理「チャーカラボン」の味付けに利用されることから、北部でよく食される虫です。 一匹のカークォンからとれる体液はわずかですが、一滴垂らしただけで料理の味が劇的に変化します。 鼻にツンとくる医薬品のような匂いがしますが確かに薄めてみるとシナモンのような香りがしないでもありません。
チャーラカラボンは雷魚とお米の麺を香草と炒めた料理ですが、このカークォンの香りと刺激が脂っこさを中和してくれる作用があります。日本にもたくさんのベトナムレストランができましたが、さすがにこの虫を出しているところはないと思います。 南部ベトナムのホーチミンでもお米でできたつけ麺料理「ブンチャー」に入れることもあります。
本当のベトナムの郷土料理を食べたいのであれば、ベトナムにいったときにこのカークォンの体液を調味料として使ってみてください。もちろん、そのままガブッといただくこともできます。ただ最近では農業に農薬が使われることからこの虫自体もかなり減ってきているとのことで、養殖されつつあります。将来は天然物は幻になってしまう可能性があります。