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なぜ日本に起業家が少ないのか?

起業家

なぜ日本人には会社を起こして自らビジネスを成功させようとする人が少ないのでしょうか? みずほ情報総研株式会社『起業家精神に関する調査』(2020年3月)の報告書は「わが国の起業活動は、世界各国と比較して高水準にあるとはいえず、起業家精神の 高揚が重要な課題となっている」と総括しています。 

会社を起こす、つまり起業すると言っても、 生活のためにやむを得ず起業するしかないというケースもあります。 これは発展途上国に多く見られるのではないでしょうか。 このやむを得ず起業するしかない状態を上記の報告書では「生計確立型起業」として、事業の機会を追求するために会社を起こす「事業機会型起業」と区別して捉えています。 

事業機会型起業の割合

日本の起業家の数(国際比較)
日本の起業家の数(国際比較)

日本では多くの人が雇用主に雇われて正社員、契約社員、 あるいはアルバイトなどで生計を立てている人が多い。 そのため必要に迫られて会社を起こすという人は発展途上の国々と比べると少ないでしょう。そのため起業の絶対数ではなく「生計確立型起業」と比べて「事業機会型起業」の数がどれだけ多いかを比較することで起業に対する意欲を測ることができます。 

2018年の調査では日本は3.4倍。 これは12倍近いスイス、ポーランド、10倍近いアメリカをはじめ西洋諸国に比べ極端に低い数字です。 アジアでも韓国の4倍に劣っています。

日本に起業家の数が少ない理由

ではなぜ起業しようとする人が少ないのでしょうか。いくつかの理由を考えてみました。

①日本人は同質性が高い

2022年5月現在、 コロナウイルスの感染も落ち着き、ワクチンを3回接種した人も半数を超え、徐々にコロナ前の日常を取り戻しつつあります。海外ではマスクをする人も減り、 入国の制限も撤廃しているところが多く見られます。 しかし日本ではマスクをしてない人を見かけることはほとんどありません。屋内はもちろんのこと屋外でもマスクをしてる人が大半です。先日テレビでも学校の体育の時間でマスクを外すことが奨励されているにも関わらず、ある子供は「他の人がつけているのに自分だけ外すのは勇気がいる」と述べていました。この子供の意見は世代を超えて同じように日本人が抱く気持ちではないでしょうか。 

日本人はほとんどの人が雇用される側にいます。サラリーマンとして生活してる人が大半です。そうした中で自分が他の人と違うことをするということにためらいを感じる人が多いのではないでしょうか。 

②日本の低欲望社会

大前研一がよく「日本は低欲望社会だからなかなか起業家が現れない」と発言しています。日本は戦後経済発展を成し遂げ豊かな社会になったのである程度の水準の生活を営むことが誰しも可能になりました。それゆえそこまで欲望を持たなくても人並みの生活ができます。ミニマリストと言って必要最低限のものを購入し生活することがひとつの社会トレンドになっています。また『年収90万円で東京ハッピーライフ』といった書籍が大きな話題になっています。そうしたことが低欲望社会を生み出してしまったのでしょうか。

豊かな社会といえばスウェーデンも先進国としてまた高福祉国として社会保障が充実しています。それにも関わらず上記の調査では8倍の起業家を生み出しています。この低欲望社会の背景にある原因はよくわかりませんが、学校教育における過度な競争を排除したり、同質性の延長にある結果ということも考えられます。

③ 女性の起業家の少なさ

上記の報告書によると2019年の国際的な比較において日本の女性の起業家の数が男性に比べて極端に少ないことが分かります。 いわゆる先進国の中で男性の起業家の数が女性に比べて日本では2.7倍、 アメリカでは約1倍、韓国でも1.5倍となっています。 先進国の平均はおよそ1.5倍です。 こうした男女による格差も大きな原因の一つです。 まだまだ日本では女性は結婚したら家庭に入り、家事洗濯子育てを請け負う。男性は外で働き家の事は女性に任せるといった風潮が根強く残っていることも影響しているでしょう。 

シャンパンを飲みたいのにビールで満足してしまう人

あなたはビールで満足していませんか?

ジョーダン・ベルフォートというセールスの神様と言われている人がいます。彼はレオナルドデカプリオが主演した 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に出てくる実在する人物です。 株の売買で不正な取引をしたことで懲役刑をくらいましたが、今では保釈されてラジオのパーソナリティや講演活動を行っています。 彼の講演をまとめたシリーズをこちらで見ることができます。 

彼の話の中でいくつか感心したことがありますがその一つに「シャンパンのビジョンを持っていながら自分の中での基準はビールという人をすぐに解雇した」というくだりがあります。 これは平たく言えばシャンパンを飲みたいと思っていてもビールあるいは発泡酒で満足してしまうような人のことを指します。 崇高なミッションを掲げていながらそれに伴う行動をしていない人ということもできます。 それだけ情熱がない人は会社でも役に立たないということでしょう。 これは極めて明快な指摘だと思います。 

以前、人材紹介業を立ち上げて成功した人の話を聞く機会がありました。 彼はある時埼京線のホームで自分が暮らすマンションを見て「なんてちっぽけな部屋なんだ。それに比べて胃の中には大きな建物がたくさん存在する」とふと疑問に思って起業したそうです。一般の人が聞いたら「なんてバカな発想をするんだ」と思うかもしれません。しかし彼にとってはそれが情熱の源になっているのです。

自分を突き動かすものは何があるか?

会社を起こすにはエネルギーが必要です。単純に暮らすだけであれば上記で紹介した本のように年収100万円でも暮らせないことはないのです。会社を起こすには面倒な手続きも必要ですし、お金もかかります。上記の人材業を立ち上げた人、ジョーダンベルフォートのようにお金を稼ぐことに情熱を燃やしている人はそれだけで会社を起こすエネルギーがあります。そうした明快な理由がある人は良いでしょうが、その他の人が会社を起こすにはどのようなエネルギーが必要でしょうか。 

もちろん必要に応じて、つまり生活のために起業せざるを得ない人もいるでしょう。 しかしそれ以外の理由で起業するには何らかの大きなエネルギーが必要です。 自分のためだけでなく自分の家族のため、もっと具体的には自分の子供のため、親のため、今まで線路が築いてきたビジネスを継承するなど、自分以外のためにエネルギーが湧いてくることもあるでしょう。

愛のために駆られるエネルギーが最強

愛の対象を見つけることがエネルギーを得る近道

「この子のためだったら自分の命がなくなってもいい」 と思う母の気持ちを理解出来る人が多いんではないでしょうか。やはり家族に対する想いのエネルギーというのはとてつもないものがあります。動物でも、例えば母熊の小熊に対する思いの強さは、小熊が攻撃された時の怒りの強さに表れています。自分に対しての攻撃であればそれほど反応しなくても子供に対してのそれは、倍以上のエネルギーを発生させるのではないでしょうか。 

このエネルギーの源は愛情にあると思います。 自分の家族に対する愛、自分の伴侶に対する愛など、自分以外のものに対する愛から発生するエネルギーは莫大です。日本人のように低欲望社会に暮らす人たちは、自分が愛せる対象を見つけることが、起業するためのエネルギーを賄うために必要なのかもしれません。 

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